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    コンプライアンス経営 長所と短所

    2015年8月17日

     
     
     

     コンプライアンスの徹底が求められるようになり、トラック業界では、思うように稼げなくなったという声が聞かれる。社会的規制強化によって「昔ほど荷物が積めない」「長時間働けない」など、取り巻く環境の変化で旨みはなくなった。こうした背景がドライバー不足の一因とも指摘されているが、一方で、仕事に誇りを持てるようになったと喜ぶ声もある。
     過積載、長時間労働などの違反が日常茶飯事だった昭和の晩年期。トラック業界もバブルとともに隆盛を極めていた。ドライバー不足の問題もあったが、働けば働くほど稼げる環境に多くの若者がトラックドライバーになった。「当時の同年代のサラリーマンの給料を遥かにしのぐ稼ぎがあり、肉体的には大変だったが毎日充実していた」と振り返るのは、東京都足立区の事業者。


     バブル期にトラック1台でスタートした同社長は、そうした環境下で会社を興し、事業拡大を図っていった。「常に忙しかったが、ドライバーがドライバーを呼んでくるという好循環で、ドライバー不足とは無縁だった」と話す。しかしその後、国は経済的規制を緩和する一方、社会的規制の強化を打ち出した。時代とともにコンプライアンスが求められるようになった。
     バブル崩壊後の長引く景気低迷も加わり、経営環境は一気に消沈していく。まず、過積載への取り締まりが厳しくなり、荷物がそれまでのように積めなくなる。「競争で運賃単価が下がる一方で重量制限も厳しくなり、二重苦、三重苦となった」と同社長はこぼす。売り上げが下がり、資金繰りに支障を来たす。会社を存続させるためにドライバーの賃金に手を加えたという同社では、稼げなくなったことを理由にドライバーが辞めていった。
     「今のドライバー不足は昔とは違う。忙しくて人が足りないのではなく、なり手がいない。問題は深刻だ」と同社長は指摘する。その上で、「コンプライアンスは大いに結構だが、今は稼げないので魅力もない。おまけに働く時間も限られる。運送会社の旨みは完全になくなった。このままでは若者が入ってくるのは難しい」と危機感を募らせている。
     一方、千葉県市川市の運送事業者は、「コンプライアンスがうるさくなり、確かに稼げなくなったことは事実だが、いい面もある」と打ち明ける。同社では重量物を運んでいるが、昔は過積載が当たり前だったという。しかし、取り締まりが緩かっただけで違法と知りながら業務を行っていた。そのため、「いつ捕まるか、びくびくしながら走っていた。常に後ろめたい気持ちで経営していた」と振り返る。「稼げる環境だったが、会社としては常に日陰を歩いていた」と振り返る。
     しかし、取り締まりが強化され、過積載もできなくなった。そして、長時間労働にもメスが入った。法令順守が当たり前になったことで法を犯さずに済むようになった。「売り上げは当然、昔に及ばないが、今は堂々と仕事ができる。それはそれでありがたい」と本音を漏らす同社長は、「誰も好きで違法をしているわけではない。しかし、環境に合わさないと生き残っていけない。そういう意味では、行政がしっかりと違法排除を打ち出してくれたことはありがたい」と喜んでいる。

     
     
     
     

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