創業３０年以上の運送会社社長は「燃料価格をはじめ、車両価格に人件費、さらにはさまざまな経費や税金などあらゆるものが上昇しているものの、運賃は期待していたほどの値上がりはしていない」とし、「今までは辛抱して投資を行い、借入をしてまで運送事業を行っていたが、借金の返済もままならない状態」と吐露する。

そのうえで、「『いつか必ずいい時が来るはず』と自分に言い聞かせて事業を継続しているが、本音を言えば、借金さえなくなれば事業廃止、もしくは譲渡してもいいと考えてしまう」と、経営意欲が損なわれた現状を真剣な表情で語る。

鋼材や海コンを輸送する経営歴５０年超の運送会社社長も、「支出が大幅に増加する一方で、運行回数の減少により収入も減少。いつになれば昔のように利益が得られるのか。先行きがまったく見えず、不安しかない」と打ち明ける。

「これまでもバブル経済やリーマン・ショックなど景気の上がり下がりは存在したが、すぐに回復して投資分や借金も返済できた」と過去を振り返ったうえで、「現状は運送事業が良くなる要素がまったく見えない」と指摘する。

さらに車両価格の高騰についても指摘。「コロナ禍前は１０００万〜１２００万円程度だったトレーラやトラクタの価格が、あっという間に１８００万円に値上がりした。来年には２０００万円に達するとも言われている」とし、「経費ばかりが上昇し、肝心の収入は過去と比較して減少している。こうしたなかで果たして事業を継続していくべきなのか、答えが出ない」と困り顔。「今後はさらに廃業や譲渡、倒産が増え続けるだろう。運べない荷物が本当に出てくるかもしれない」。