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物流ニュース
暫定税率廃止法案 廃案にがっかり、運送会社から落胆の声
2025年6月25日
野党7党が6月11日に提出したガソリン税の暫定税率廃止法案。ガソリン税に対して7月からの暫定税率廃止を求めて国会に提出したもので、衆議院では野党による賛成多数で6月20日に可決され、続く参議院の財政金融委員会で審議されたが、継続審査手続きを取らずに散会。採決は見送りとなり、同法案は廃案となった。
「消費者や生活者の立場に立って見たとき、物価高に対する緊急的な対応が必要だ」(関西の運送事業者)などの声があったものの、採決が見送られたことについて、別の関西の運送事業者は、「多くの野党が賛成して通った法案はいわゆる民意そのもの。国民に2万円を配布するために3兆円支出するくらいなら、ガソリンの暫定税率の廃止による1兆円超の減収の方が国庫への負担が小さく、どちらがいいのかは明確だ」とし、「(暫定税率の廃止は)われわれの業界は直接的に関与する事案だが、生産者や観光など、ほかの業界にも恩恵がある。生活が苦しくなっている現状を無視して、ばらまきによる選挙対策を優先したように感じる」とコメント。
ほかにも関東の運送事業者は「この法案が通れば、物流コストも下がって商品価格の安定につながる期待もしていた。法案採決の見送りで経済や家計の負担軽減が先送りされた」と不満を漏らす。
大阪府高石市の運送会社は「今回も半信半疑で推移を見守ってきたが、結果は廃案。国は、一度徴収し始めた税金を廃止することは一切ないのだろう。今後もこのまま暫定税率の廃止はないと予想する」とあきらめ顔。
大型トラックなど約50台を保有する運送会社は「廃案は非常にショック。野党の頑張りは評価できるものの、やはり与党には勝てないのか。今回、業界外からもここまで興味を持ってもらったのに廃止にはならなかったのは、ある意味絶望的。軽油価格は依然値上がりを続けており、今後は保有台数が多ければ多いほど、燃料費と税率に苦しめられる」と厳しい表情で語る。
東京商工リサーチによると、5月の原材料高騰などの物価高倒産は45件となっており、前年同月から48.8%減になっているものの、このうち7件を道路運送業が占め、飲食店に続いて2番目に多い。
人手不足や人件費高騰だけでなく、物価高騰によるコスト増が影響を及ぼしている。
東京商工リサーチは、「経営体力がぜい弱な小・零細企業を中心に、物価高倒産はしばらく月間40件から50件前後で続く」との見解を示した。
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