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物流ニュース
第一倉庫 小泉泰志社長「コツコツと信用積み上げ」
2016年1月15日
第一倉庫(小泉泰志社長)は昭和31年、東京都江東区に木場倉庫を開設するとともに会社を設立。地域に根をおろし、現在では関東近県に倉庫やオフィスビル9拠点を展開。2トンから15トンの車両も保有し、倉庫保管を軸足に荷役、配送を含めたトータル物流サービスを提供している。
三代目である小泉氏が社長に就任したのは平成22年。民主党新政権となり、世の中は閉塞感からの脱却に期待を寄せていた頃であった。物流業界は効率化を追い求めていたが、23年の東日本大震災以降、BCP(事業継続計画)が注目されるようになった。24年の暮れには自民党に政権が戻り、物流業界も世情や景気の影響を受けながら進化を持続し、25年に7年後の東京オリンピック・パラリンピック招致に成功したこともあり、都内および首都圏の都市改造計画が一気に進んだ。
そんな中、同社は地域にしっかりと根を張り、時代の流れに敏感な対応を見せながらも自社のスタンスで地場を守っている。小泉社長は「倉庫業とは、自分の時代の結果が次の世代で出るような業種。だからこそ手を抜かず、コツコツと信用を積み上げていくことが大切」と話す。
ここ数年、物流業界では色々な機能を備えた大型物流センターが各地で続々と建設されているが、それに対しては「地場に根付いている我々とは立ち位置が違うので、競合していくのではなく、こちらも必要な時には使わせていただくというような関係と捉えている」。一方で「今はオリンピック前で景気回復に向けた動きもあり、大きな施設がどんどん造られているが、いずれは過剰になって、テナントが全部に入らないのではという懸念は残る」とも。「投資家にしてみれば15〜20年間だけ倉庫業にお金を継ぎ込み、利益を取るという選択もあるが、我々は社員も含めて代々引き継いでいける事業を進めていかねばならない。自分の代だけ利益が出ればいいというものではない」と語る。
創業当初はロール紙から板紙までの紙全般を取り扱っていた同社。今は食品を含む貨物全般を扱う。冬場は空調管理を整えて、チョコレートなどの商品も扱っているが、全体の荷動きは芳しいとは言えない状況だ。そんな中でも「荷主の要望に応えているうちに、ごく自然に3PL業務もこなすようになった。当社では3PL業務もスタンダードとして位置付けている。同様に何かあった時にも、いち早く平常の業務に戻すことが荷主への何よりのサービスと考えているので、BCPへの意識も常に高く持つよう、社員には常々話している」と語る。
「例えば、いま地震が起きたらどうするか。倉庫の中にいれば、少しの荷ズレも気になるはず。後は気が付いたこと、やるべきことは後回しにせず、気付いた時にやる。これに尽きる。私は創業者ではないので、この会社も代々の預かり物と思っている。倉青協の仲間は同じような立場の方や共感してくださる方も多い。ビジネスではライバルだが、同業者として業界の発展や向上について協力し合っている。良い仲間がいてありがたいと思う」。未来について、「30年先、いま関わっている人たちが幸せでいてくれるよう、そして『30年後になっていたい自分』に近づくよう努力していく」と話す。
◎関連リンク→ 第一倉庫株式会社この記事へのコメント
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