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物流ニュース
澁澤倉庫 大隅毅社長 物流を「価値を提供する産業」へ
2026年1月15日New!!
澁澤倉庫(東京都江東区)では、変化の激しい物流環境に対応すべく、倉庫と輸送機能の両面でさまざまな対策を講じている。物流として切り離すことのできない倉庫と運送。大隅毅社長に、老舗倉庫事業者としての取り組みを聞いた。

飲料物流が得意分野の同社は、長年にわたり大手飲料メーカーとの取引が続いている。千葉の拠点では、グループ会社の運送事業者や専属の協力会社を含め1日に200台ほどトラックが動き、500~600運行を行う。
飲料物流は波動が大きく、夏季には通常の約4倍の出荷量となるが、冬季にはその半分にまで減少することもあるため、繁閑に対応できる運営体制を築いている。
こうした商品は回転が速く、迅速な出荷対応が求められる。着車可能なバース数や仮置きスペースの確保など、長年携わった経験を活かし、効率的な倉庫レイアウトを整備してきた。
昨年には飲料物流に特化した次世代型拠点「京葉配送営業所千葉北第三倉庫」が稼働を開始。
同社長は、「自動搬送機の導入、入出庫バースを2面に配置、倉庫を囲むように待機レーンを設けるなど、1日約200台のトラックの運行のための工夫を施している」と語る。

保管能力は、自社拠点に加え、協力会社の倉庫を活用。その複数拠点を一元的に管理することで、繁忙期などに機動的にスペースの調整を行える体制を整えている。
一方、閑散期には、需要の時期が異なるアパレルなどの貨物を確保し、稼働率の最適化にも取り組んでいる。閑散期に荷物を確保するのには、倉庫だけではなく輸送にもメリットがある。同社専属の協力会社に対して、閑散期でも一定の業務を提供することで、車両を安定して確保できるのだという。「関係性を維持し、継続的な協力体制を築いている」と同社長。
「2024年問題以前から、年末や期末、連休前などの繁忙期に対応したノウハウを蓄積してきた」としながらも、「以前は1日で完了していた長距離輸送が2日かかるようになり、ドライバーの減少によるひっ迫感が高まっている。これに対する対応も進めている」と現状への危機感と対策への意欲を示している。
輸入雑貨、アパレル、化粧品などの多品種小ロット商品に対する競争力を強化しつつ、年々増加しているEC需要に対し、販売機会ロスの減少や返品業務の削減を行っている。
「リードタイムが短く、件数が多いEC出荷に対応するため、自動化機器や作業の生産性管理を導入することで、臨時の作業者を活用できる体制を作っている」と大隅社長。「すべてを機械化するのではなく、ある程度人間がやれることも確保しつつ機械の稼働率を上げるなどして、全体的な工程設計をしていくことが物流事業者としてのノウハウだと思う」と述べた。

物流事業者として、荷主企業はドライバーの労働時間短縮や環境への意識から、モーダルシフトへの関心が高まっていると感じているという。
働き方改革やコンプライアンス重視の観点から、「例えばこれまで全国3か所の拠点に在庫していた品物を5か所に置き、最終的にドライバーの負担軽減のために輸送距離を短くする。倉庫拠点をうまく使ってもらうというのは解決策の一つ」という。
現状、同社ではグループの運送事業者が運行をカバーしているが、今後、拠点網が十分でない地域やドライバー不足が深刻化した場合には、M&Aによる輸送ネットワークの拡充も選択肢として検討し、全体的な輸送能力の確保を目指している。
同社が昨年横浜に開設した新倉庫では、屋上緑化や再生可能エネルギーの活用など、環境への配慮を積極的に採り入れている。フォークリフトもエンジン式や鉛バッテリー式から、環境負荷を低減できるリチウムイオンバッテリー式への切り替えを進め、LED照明の導入や太陽光パネルの設置にも取り組んでいる。大隅社長は、「環境への取り組みは、長期的に見ればコスト面でも企業イメージの面でもプラスになると感じている。顧客のなかには、サプライチェーン全体で排出されるCO2量(スコープ3)の把握に努めている企業もあり、我々もその数値を把握している。環境配慮型企業であることが、荷主から選ばれる理由になる」と語っている。
◇
大隅社長は、単なる「モノを運ぶ・預かる」という従来の運送・倉庫事業から、物流機能が産む価値、生産や販売にいかに寄与するかに深く関与する姿勢を強調する。同社は、2030年長期ビジョンで「物流の枠を超えた価値を創造し、バリューパートナーとなる」ことを目指しており、同社長は「汎用性や波動への対応力をさらに高めるとともに、物流の専門性に誇りを持ち、その価値を社会に広めることで、物流を『価値を提供する産業』へと変革させていく」とし、「業界の地位向上と働く人々のモチベーション向上を目指す」と語る。
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