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物流ニュース
全ト協 寺岡洋一会長 新春インタビュー「適正原価」を語る
2026年2月4日New!!
貨物の3分の1が運べなくなることが懸念される2030年まであと4年。全産業平均並みの賃金をトラックドライバーに確保することを目的とした、改正貨物自動車運送事業法等(トラック適正化二法)が昨年成立した。そのなかの目玉、「適正原価」に基づくトラック運賃制度は、2年半後の28年6月までに施行される。全ト協に昨年新設された「トラック適正化二法対策委員会」は、適正原価の創設に国交省とともに携わる重要な役割だ。委員長を自ら兼務する同協会の寺岡洋一会長がこのほど本紙のインタビューに答え、「一番難しいのが適正原価」と認識を示した。まだ見ぬ適正原価制度の姿、効果、そして課題について話し合った。

―会長就任から半年
寺岡会長「あっという間。地元の名古屋に居られるのは月のうち3分の1程度。法律を作っていただき外部からの応援体制もある。いろいろな動きがいまあるところで、やりがいもあり責任も感じる」
―運賃の話。制度に穴があることを現場で聞く。問題が問題としてあり続けるのは穴があるからではないか、と。実勢運賃はいまだに底を這う状態
寺岡会長「昨年6月に法制化された『トラック適正化二法』の中身が実現すると、そういった問題も解決すると思う。それに向けて全ト協も全力を挙げている。『トラック適正化二法対策委員会』を立ち上げ、47都道府県ト協も団結している。これだけのことを政治、国交省が応援してくれていて、ドライバーの賃金待遇もかなり改善されるものかと。エッセンシャルワーカーとしての責務が果たせると思う」
「(二法の)4つの対策で大きく改善される。『更新制』『違法な白トラに係る荷主の取り締まり』『委託次数制限』、そして一番難しい『適正原価』。これを下回らないような運賃を払いなさいという指導を荷主にしていただける」
―本当に「払いなさい」までいくのか。鳴り物入りのトラック・物流Gメンによる勧告・公表はわずか4件だけ。「適正原価」も現場にきちんと入っていくのか疑問が
寺岡会長「国交省だけでなく農水・経産省や公取委も物流を守ろうと、物流を止めちゃいけないということで動いてくれている」
「しかし非常に難しいところは、運賃には地域間格差が非常に大きい側面があること。もう一つは、帰り荷なのか、それとも発つ荷なのかの問題もある。今後、委員会で国交省も入っていただき検討していきたい」―例えば、軽油の暫定税率が下がるというのは原価が下がること。運賃を下げろという要請が荷主からあれば、下げるのは当たり前か
寺岡会長「軽油に関して言えばそういう議論も出てくると思う。しかし中小企業庁の価格転嫁の調査では、トラック運送のエネルギー費の転嫁率は34%と転嫁が進んでいないので下げられる状況にない」
―暫定税率が下がったから運賃を下げるというのは乱暴?
寺岡会長「そのとおり。出てくる適正原価を踏まえた運賃がベースになっていて、あくまで適正原価を継続して下回らないよう頑張ろうという話ではないか」
―適正原価が施行されるのは2年以上先。暫定税率廃止は今年4月。その間、事業者は荷主に抗弁できると考えるか。
寺岡会長「そこだけをとらえるのは乱暴だ。適正原価が出てくるまでも、標準的運賃をベースに、いまだいただけていない適正な運賃・料金を収受できるよう荷主との運賃交渉を進める必要がある」
―国交省の石原大物流・自動車局長に会見で、適正原価の審査(事業許可更新のための審査)の仕方を尋ねた。収受した1回ごとの運賃では判断しない、トータルで適正原価を上回るか下回るか。そうした審査制度にする見込みを明らかにした
寺岡会長「今の実勢運賃よりは上がっていくと思う。荷主もトラック事業者も(適正原価に)近づくようになると思う。許可の更新に関わってくることなので、我々のやらないといけないことはやっぱり示された適正原価を収受する、下回って仕事をしないということだ」
「(適正原価を下回るような仕事を)受けちゃいけないことをみんなが認識しなければならない。白トラも使えないのだから、もうこれ以上下回ってはやれませんよ、と」
―法には「適正原価を下回ることとならないようにしなければならない」とある
寺岡会長「今後、国交省が行う実態調査に会員事業者も適切に協力して(原価)データを徹底的に出すということ」
「出てくる(実態調査の)数字を見て判断したい。適正化二法の1回目の委員会(昨年8月)で、トラックの償却が話し合われた。法定償却4年のところみんなそれを超えて大切にトラックを使用している」
―見直しを含めた検討が始まった残業時間上限について
寺岡会長「高市(首相)さんも、働きたくない人に働いてくれなんて思っていない。働きたいと思っている人に働ける環境を作りたいと思っている。全国の会員事業者の声をよく聞きながら対応していきたい」
―就任当初から「会員ファースト・業界ファースト」を訴えてきた
寺岡会長「きちんと法令を守ってやっていく人が会員であってほしい。ルールありき。会員事業者の声を聞きながら、業界の健全で持続的な発展につなげていきたい」
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