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物流ニュース
競い合う引越業者 一般消費者の声「営業マンが会社のイメージに」
2017年4月25日
BtoCが主流の引越業界では、顧客へのPRは重要課題だ。女性のスタッフによる引っ越しやシルバー引っ越し、深夜の時間帯の引っ越しなど、近年では種類も多様化し、どの層の顧客をターゲットとするか、事業者はしのぎを削り合っている。競争が激しい業界だけに、時には他社を批判し、蹴落とそうとすることもあるようだ。一般消費者の声を聞いてみた。
3月・4月は引っ越しシーズンで、車両が足りなくなるほど例年忙しい時期を迎える。関東から関西へと引っ越しする2人世帯の家族は、テレビCMでよく見る数社に引っ越し代金の見積もりを依頼し、その中でA・B・C社の3社に絞った。
実際に営業マンが家に来て見積もりが行われ、A社は「29万円を切ることはできない」と値引きに応じず、C社の提示価格(68万円)の値引き後の16万円を参考程度に伝えたところ、「C社で決めたほうがよい」とだけ伝えて営業マンは帰ったという。また、B社は、C社の不祥事に関する新聞記事をラミネート加工した資料を、営業マンが持っていたという。
世帯主の男性はB社に対し、「繁忙期なので、そこまで躍起にならなくても依頼ならばいくらでもあるはず。それなのに、わざわざ15分もC社の悪口を聞かされたのは正直びっくりした。B社のネガティブキャンペーンは知っていたので、私は『これが噂の…』と半分興味本位で聞いていたが、妻は面倒くさそうだった」とこぼしていた。B社の担当者は結局、68万円の見積書を置いて去っていった。男性は「引っ越し価格の相場が分からず、最初の60万円代の数字には焦ったが、最終的にC社はここまで価格を下げるのかと驚いた」と話す。
どの会社にすべきか悩んだ結果、総合的に判断して、価格と対応に納得できるC社を選んだ男性。低価格の魅力が大きいが、個々の営業マンの対応が会社のイメージにつながっているという。特にネットが発達した現代では、悪い評判はすぐにSNSなどで拡散されてしまうのも気をつけるべき点だ。
男性は「C社の最終価格は20万円を切った。不祥事の件は気になったものの、会社の先輩からのアドバイスで、C社は対応が丁寧という話を聞いていたので決めた。ネットで各社の評判などを見ていたが、結局は営業マンの対応と値段との相談。C社は営業マンの感じがよく、好感がもてた」と説明する。
見積もりで個人宅を訪問する際、相手は初対面なので、特に業者に対し警戒する傾向にある。この信頼関係ができる前のタイミングに他社の批判をしてしまうと、その営業マンだけでなく会社に対するイメージを悪くしてしまうことが多いようだ。
「あっ、○○ですか? よく比較されます。この前も同じようなお客さまがいらっしゃいました」程度に留めておくべきかもしれない。営業マンとして、「ここで決めさせたい」という気持ちが強ければ強いほど、他社を潰したくなる気持ちになるものだが、競合他社を批判して良いことはない。ネガティブキャンペーンや、他社を貶める広告は何の価値も見いださず、目の肥えた消費者に見透かされるだけだ。
引越業界も人材不足で、繁忙期に品質向上などと言っていられない現状もうなずける。しかし、どんな時期であろうとも一般消費者の目は厳しい。ネットが普及した現代では、他社批判をする営業マンや態度の悪い現場作業員の存在は、BtoCの企業では特に命取りといえそうだ。
近年では、BtoBの運送事業者にとっても他人事ではない。品質の高いサービスと社員は、今後を生き残るための必須事項といえる。この記事へのコメント
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