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    残念なパブコメ結果 地方ト協数にも満たない

    2018年5月3日

     
     
     

     国の行政機関が政令や省令などを定めようとする際に、前もって広く一般から意見を募るとともに、その意見を考慮することで行政運営の公正さ、透明性を向上させる目的で平成17年6月、行政手続法の改正によって法制化されたのが「パブリックコメント制度」(意見公募手続き)だ。めまぐるしく従来ルールが変わっている現在のトラック運送事業でも、今年に入って数件のパブコメが公示されたが、内容の重要性を踏まえれば結果はあまりにお粗末。提出された意見は都道府県のトラック協会数にも達しておらず、机上と現場のギャップを少しでも埋める貴重な機会は依然として生かされていないのが実情だ。

     今年に入って示されたパブコメのうち、小規模・零細の事業場がひしめくトラック運送業界に関連する重要な改正案がいくつかある。かいつまんでいえば、社会保険の未加入者が2人以上、健康診断の未受診者が2人以上いれば20日間以上の車両停止など、ぐっと量定が引き上げられる「行政処分の強化」(2月20日から3月21日まで募集)や、「社長や取締役であっても運転業務に就く場合はドライバーと同様に勤務時間などについて改善基準告示が適用される」(同)という内容について意見を求めたもの。

     ともに3月30日付でパブコメの結果が公示されているが、前者については40件、後者に至ってはわずか10件という有り様。反対ありきの意見を集める必要はないが、現場に近い立場でなければ知り得ない現状を訴える機会は限られている。提出された意見が、事業者の声を集約して代弁すべき立場でもある47都道府県ト協の数にも満たない現状は寂しい限りだ。

     行政処分の強化の対象となる健康診断の未受診、社会保険の未加入について「人数ではなく、会社規模を考慮して割合で判断すべき」「乗務時間等告示の順守違反について、一律に件数による行政処分ではなく、割合で判断されたい」といった中規模以上の事業者を連想させる意見が目立つ。「労働時間短縮のために営業所を新設して改善を図りたいが、行政処分後の一定期間は営業所の新設ができない。労働時間の短縮をともなう場合は特例的に営業所の新設を認めるべき」というのも、ある程度の事業規模を持った運送会社の訴えに感じられる。

     一方、実運送の大半を占める小規模・零細事業者の声を代弁するような内容は少数。「過労は運送事業者だけの努力では改善できず、荷主の協力が不可欠。運送事業者だけが行政処分を受け、荷主に罰則がないのは不公平」という意見があったくらいで、現場から漏れ聞こえる「いくら指示しても健診に行かないドライバーをどうすればいいのか」「定年後に再雇用し、年金をもらいながら働く高齢ドライバーも、社保未加入者としてカウントされてしまうのか」といった疑問や不安は一切見られない。

     また、それまで曖昧な解釈で済まされていた社長など会社役員や個人事業主の〝ハンドル時間〟も社員ドライバーと同様に、改善基準告示などで縛られることが明記されることになる問題についても、出された意見はわずかに10件。労働時間の厳しい制約や、それによるドライバー不足もあって運転業務の現場に戻る経営者も増えている事情を考えると、もっと多くの声が集まってもよかったはずだと感じる。

     さらに4月20日、実運送の関係者を悩ませそうな一つの改正案のパブコメ結果が公表された。「乗務前の点呼で報告を求め、確認する事項に『睡眠不足により安全な運転ができない恐れの有無』を追加」「睡眠不足で安全な運転ができない、または継続できない恐れがあるときはドライバーが会社に申し出ることを追加」「点呼時の記録事項に睡眠不足の状況を追加」という改正について意見を求めたもので、3月31日が締め切りだった。

     結果は16件。なかには「睡眠不足ではないと乗務員が嘘を申告すれば意味がない」「きちんと休息期間を設けているのに睡眠不足と申告された場合はどうすればいいか」など気になる点をただす意見もあったが、これらについて国交省は「運行管理者が普段の様子から考慮して判断」「乗務の前日にはきちんと睡眠をとるように指導」との考えを示し、パブコメを踏まえた改正案の修正について「無」としている。

     前出のパブコメもそうだが、これらの改正の対象には旅客運送も加わっているため、トラック関係者が提出したコメントはさらに少数と予想される。多くの関係者が指摘するように、パブコメが始まった段階で、ほぼ改正案は固まっているというのは経験則からも確かだ。ただ、この先の懸念となる可能性がある問題であるにもかかわらず、対象となる業界から出された意見が地方ト協の数にも達しないという現実。各地で会員事業者を大動員した軽油引取税関連のデモ行進の様子を思い起こせば、やり方次第で国交省も看過できないほど大量のパブコメをぶつけることは不可能ではないはずだが…。

     
     
     
     
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