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    事業法の改正進める 全ト協・坂本会長に独占インタビュー

    2018年8月6日

     
     
     

     7月12日に催された全ト協理事会で、坂本克己会長は「議員立法で貨物自動車運送事業法(事業法)の改正を進めていく」と表明。同日、そのためのプロジェクトチームを立ち上げ初会合を開いた。坂本会長は「正直に事業を営むトラック運送事業者が、経営の健全性を損なわぬよう、早急に法改正を実現したい」と思いを述べ、今秋の臨時国会もしくは来年の通常国会を見据えて、事業法の改正を進めていく考えを示した。「法改正には、与党・野党の垣根を越えての超党派での協力が必要だ。トラック運送業の皆さんにも、各地域の国会議員の方にお話をしてもらう機会が来ると思う。トラック運送事業の健全化に向け、風穴を開けるのが全ト協会長である私の使命だ」と話す坂本会長に、法改正への思いをインタビューできた。

     事業法の法改正では新規参入規制の強化や悪質事業者の排除、悪質荷主への是正勧告の強化などを具体的に目指す。坂本会長は「『悪』が蔓延ることで『善』が滅びることがあってはならない。まともな事業者の健全性を守るためにも事業法を改正していきたい」とし、「今秋の臨時国会もしくは来年の通常国会を見据えて、法改正を進めていく」考えだ。

     トラック運送業界を取り巻く経営環境については、ドライバーの待遇改善の第一歩として、昨年11月の標準貨物自動車運送約款改正で運賃改定効果が出始めたことや、一般紙等で物流業の窮状が報道され広く波及し、荷主に対して運賃交渉がしやすくなるなど、明るい兆しが見える。しかし、坂本会長は「現在、多くの業種で景気見通しが良いとされている中で、景気見通しが良くない3業種のうちの1つが貨物運送。ドライバーの待遇改善は、他産業と比べてもまだまだ遅れをとっている」と指摘。

     平成2年の物流二法による規制緩和を皮切りに、運送事業者は大幅に増えた。実際には、ドライバーの給与は全産業平均に比べ2割安く、労働時間に関しては2割長いと言われている。事業者が適切な運賃を収受しなければ、運送業の発展、人材確保にはつながらない。ドライバーの労働条件を改善し、若年労働者を呼び込む対策が不可欠だ。

     「今も酷暑の中、汗水を流して働いている現場の方が大勢いる。その方々に適正な給与を持って帰ってもらうことが業界の発展、人材確保にもつながる。私は、トラック運送業で働く人を幸せにする」という信念を明らかにする。今回の法改正への取り組みは、一見すると規制緩和以前に業界を戻す動きという印象を受けるが、坂本会長は「今の時代に合った規制、新しい仕組みを構築していく」と回答。その上で、「法改正のチャンスはまさに今この時。チャンスは瞬く間に過ぎてしまう。この時期を逃してはいけない」と、並々ならぬ思いだ。

     昨年、全ト協会長に就任し、業界の数ある課題解決に向け精力的に取り組む。これまでも法制化に携わってきた功績を持ち、政界と運送業界をつなぐパイプ役として長年活躍。全ト協会長就任以前にも、諸問題解決のため邁進してきた。

     その一つが、運輸事業振興助成交付金を法制化することを内容とした、運輸事業振興助成法だ。平成23年に施行されたが、坂本会長は法制化に尽力した。また、タクシー業界の過当競争是正に向けて供給過剰地域での事業者に減車を義務づけるため、平成25年に成立した「改正タクシー特措法」だが、同法成立の立役者の1人が坂本会長だ。

     それらの実績を見ても、今回の議員立法での事業法改正に期待が寄せられている。坂本会長は「これまでトラック・タクシーで携わってきた経験を生かし、法改正に向けた道筋をつくり、運賃・料金もしっかり収受できる環境をつくっていく」と、前向きな姿勢を見せる。

     一方で、多くの業種で問題となっている長時間労働の抑制などを目指し、今年6月29日に可決・成立した「働き方改革関連法案」。同年3月に全ト協は「トラック運送業界の働き方改革実現に向けたアクションプラン」を、石井啓一国土交通大臣に報告している。坂本会長は「罰則付き時間外労働規制の適用に関して2024年まで猶予がある中で、それまでに健全な環境づくりを実行する必要がある。国交省と厚労省が連携し、厚労省から直接荷主に対して是正勧告を行う事項に関しては5年の『付則』としての時限立法とし、事業者の参入規制などについては法が有効に機能するまで継続するという形をとりたい」と明らかにした。

    これまで荷主に対する勧告制度は運用されていたものの、さらに一歩踏み込んだ措置が必要となる。「改善基準告示の変更などの問題については今後、議論を深めていきたい」。

     場当たり的な対策ではなく、トラック運送業の将来ビジョンを見つめ直し、業界一丸となって取り組む姿勢が必要となる。坂本会長は「まずは業界のコンセンサスが得られなければ意味がない。トラック運送事業者の方には、各地域に帰った国会議員の方にお話をしていただきたい。規制緩和が行われた以前に戻るのではなく、新しい時代へ進むための一歩を踏み出さなければいけない。私自身も、全ト協会長として法制化への道筋をつける」と、決意を新たにした。

     トラック運送業の健全化を訴え続けている坂本会長。今後、労働力不足などで業界は今まで以上に厳しい立場に置かれることが予想される。長年のトラック運送業の懸案事項に対し突破口を開くことを期待する。

     
     
     
     
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