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    営業トラック輸送効率 国交省資料データに疑義

    2019年2月21日

     
     
     

     営業用トラックの積載効率が近年、いかに低下しているかを強調した国交省作成の資料のなかに、統計の調査・集計の方法が変更されたことを加味せずに算出したデータ(自動車輸送統計)が使われている疑いのあることが、本紙による算出によって明らかになった。変更を加味しないデータを使っていると見られるため、トラックの輸送効率が平成22年度に不自然に下落している。輸送効率低下を示す資料は国交省が3年前、「物流生産性革命」を掲げた当時のもので、物流事業の労働生産性を2割程度向上させる目標を掲げる資料として使われた。一方で資料は、鉄道や内航船などの他の輸送手段を含めた物流の効率化を「輸送モード横断的に評価する」ことも目的に作成されている。

     「トラックの輸送能力の約6割は未使用」。物流生産性革命の必要性を説いた資料には、トラックがその輸送能力をいかに生かしきれていないかが、「トラックの積載効率の推移(営業用)」のグラフとともに示される。

     グラフによると、平成7年には55%あった積載効率が14年後の21年には48%付近にまで緩やかに下降。翌22年には急激に37%付近にまで約10ポイント低下。翌23年には42%付近にまで持ち直すものの、25、26年には「40・9%」の水準で推移する、というのがグラフの読み方だ。

     トラックの輸送能力を図る際に持ち出された「積載効率」とは何か。国交省は基幹統計の一つ「自動車輸送統計」の用語解説として、「能力トンキロと輸送トンキロの比較によって輸送効率が算出できる」としている。

     重量がいくらの貨物を、実際にどの程度の距離運んだのかを示す「輸送トンキロ」の数値を、最大積載量がどれだけのトラックが運んだのかを示す「能力トンキロ」の数値で割ることで輸送効率が出せる、とするもの。

     自動車輸送統計の実際の両数値(営業用貨物車の数値)を平成26年から順にさかのぼって割り出してみる。平成26年は40・88%、以下25年=41・13%、24年=40・94%、23年=41・60%、22年37・63%、21年=47・95%、20年=48・35%。22年と21年の間に大きな断層があることが、先ほどのグラフと同様に読み取れる。

     22年分の数値をまとめた「自動車輸送統計年報」(第49巻第13号、平成23年度分)によると、平成22年10月から自動車輸送統計は調査方法と集計方法を変更した記載がある。その中には、「新統計数値と旧統計数値を比較する際は、旧統計数値に接続係数を乗じた値により比較」することを求めている。

     接続係数とされる自動車輸送統計に示された数値を、平成21年、20年の数値にそれぞれ掛け合わせて再計算してみた。本紙の計算では、平成21年の営業用トラックによる輸送効率は34・77%、20年=35・05%だった。

     接続係数を掛け合わせた場合の平成20年から26年までの輸送効率の推移は、20年には30%台半ばだったが23年には40%台に乗った、という筋書きになる。平成の初めには50%台だったものが急減しているという、国交省がグラフのなかで示したものとは違う。

     実際に本紙が接続係数を掛け合わせないで輸送効率を計算すると、国交省の示したグラフと符合する数値が得られた。

     こうした数値を前にトラック事業者の一人は、「過積載や無理な運行もあったことで、平成の初めのほうが効率は良かったともいえるが、貸し切りだけでなく積み合わせが増えたこと、帰り荷も増えてきたことを考えると、平成の初めが現在よりも輸送効率が高かったとは思わない」と話している。

     データ取り扱い上のミスといってしまえば、それまでかもしれないようなケースだが、自動車輸送統計という基幹統計を使って出した「輸送効率」の二次データは、「物流生産性革命」を牽引する根拠にもなったデータだ。物流生産性革命は昨今の「働き方改革」とあいまって、底を這うようなトラック運賃水準や運送取引上の条件などで、改善を引き起こすきっかけともなった。ただ、トラックの乗務員不足が進行する一方で運賃や取引条件の改善は鈍く、トラック事業者からは「先行投資」「持ち出しの状態」といった声が多く聞かれる。自己資本で先行投資が出来るのならいいが、先行きの見えない人出不足解消に対して、借り入れを増やしてまで先行投資がどこまで出来るのか。金があるから人材確保できるのか、人材確保が出来るから金が集まるのかといった、「鶏と卵」の状態が続く。

     物流生産性革命はもう一つ、他の輸送モードとあいまって物流を確保して行かねばならないという、2020年までの「総合物流施策大綱」の方針とも符合する表現が随所で使われる。長い間の過当競争で人材的に疲弊したトラック産業が今後の物流をまかなえないのなら、他の手段でといった発想が無きにしも非ずだ。

     鶏と卵問題を言っていられる間はまだしも、敷衍して言えば、トラック産業不要論にもつながりかねないのが、物流生産性革命の骨子ではないか。単にデータ取り扱い上のミスでは済まされない、基幹統計の二次的利用とみるのは筆者だけだろうか。

     
     
     
     
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