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    「標準的な運賃」はあくまで交渉材料 国交省貨物課が説明

    2019年3月25日

     
     
     

     改正貨物自動車運送事業法が昨年12月に公布された。「標準的な運賃」の導入などが盛り込まれ、業界では「画期的なできごと」と受け止める声も多かった。労働条件の改善や事業の健全な運営確保のため、国交大臣が「標準的な運賃を定め、告示できる」と規定したもので、「これで運賃が守られる」と感じた事業者も多かった。だが、実相はそうでもなさそうだ。国交省貨物課は「(事業者や荷主を)縛るものではなく、『参考』の数値」で、あくまで事業者が荷主と交渉する際の「材料」に過ぎないと言い切る。

     改正事業法では、多くのトラック運送事業者が「荷主への交渉力が弱い」ため、必要なコストを収受しにくく、その結果「法令順守しながらの持続的な運営ができない」として「標準的な運賃」の大臣告示を平成35年度末までの時限措置として導入する。

     貨物課の説明では、社会的責任を果たし、必要なコストを補うには「このくらいの『運賃』が妥当ですよ」と国交大臣名で提示するにすぎず、強制力は全く持たないという。ただ、大臣の告示だから「大臣のお墨付きには間違いない」とのこと。ト協幹部など一部の事業者には既に説明され、かなりトーンダウンしているが、まだ誤解している事業者は多い。

     荷主双方とも標準的な運賃について「守るも自由、守らぬも自由」(貨物課担当官)というのだ。また、「標準的な運賃」を提示しながら、荷物のボリュームに応じ、事業者が適切な利潤を確保できるなら「割引するのも自由」という。

     標準的な運賃の導入に当たり、同省はトラック運送事業について、運行費、車両費をはじめ安全・環境対策費、人件費、一般管理費、事故処理費から租税公課まで徹底した原価計算を行うため、全ト協に協力を要請。事業決算の時期に合わせて、全国の事業者からデータを収集・分析していく。施行は「公布日から起算して2年を超えない範囲内」のため、あまり時間はないが、具体的にどのような形になるのかは「全然決まっていない」(同)。

     現行運賃の基礎となっている運賃タリフは、ほとんどが平成11年公示のもので、それ以前の平成9年、同6年、同2年、昭和60年までのタリフを元にしているケースもある。運賃は、平成15年に届け出制となったため11年以降のタリフはない。現在、運賃の形態は複雑化しており、重量と距離(地域)をかけたトンキロを根拠とするタリフのような形になるのかどうかなど「全く未定」(同)という。ただ「しっかり運賃が収受できていない事業者の水準に設定しても意味がない」ため、昨今の運賃上昇ムードの中、「高い水準」を目指すとしている。

     改正事業法は(1)規制の適正化(2)事業者が順守すべき事項の明確化(3)荷主対策の深度化(4)標準的な運賃の告示制度の導入──の4本柱。規制の適正化は事業者を縛るもので、近く省令で細則が出る。

     一方、荷主対策の深度化はやはり平成35年度末までの時限措置として「荷主の配慮義務の新設」「荷主勧告制度の強化」「国交大臣による荷主への働きかけなどの規定の新設」を決めたが、すべて既存の法律内での「運営」で補うという。

     荷主勧告制度は創設以来、一度も勧告を受けた荷主はなく、「今回も事業者にはさらに厳しくなるが、荷主には『社名の公表』以外、明確な罰則がない。果たして効果はあるのか」など批判も多い。

     認可運賃時代のタリフ同様、「標準的な運賃」が示されても、業界が一枚岩にならず、「うちはもっと安くできますよ」と入ってくるケースがある限り、形骸化する恐れがある。貨物課では、新設された「荷主への働きかけ」も「荷主情報を具体的にどうとるか」など課題が多いという。荷主対策は、やはり独禁法がらみで公取委にどう動いてもらうかがカギとなりそうだ。

     
     
     
     
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