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物流ニュース
現役配車係とドライバーが動画制作「Axis Log Project」ドライバーを応援
2019年4月16日
運送業への雇用促進や実態周知などを目的に、現役配車係とドライバーがタッグを組んで立ち上げた「Axis Log Project(アクシス・ログ・プロジェクト)」がドライバーを応援する動画を制作。ドライバーの働く姿をつなぎ合わせ、映像作品に昇華させた。4月15日からネット上で公開している。
同プロジェクトは、ツイッターで配車係のアカウント「とらとらとら♡」として人気を集める加藤光世氏の呼びかけに、和興(長崎県諫早市)のドライバーで映像制作会社「KëMu(ケーム)」の専務も務める平松廣也氏が賛同し、旗揚げ。加藤氏は、「40名を超えるドライバーの皆さんから動画や写真を提供いただき、プロモーションビデオのような素敵な映像作品に仕上がった」と胸を張る。
同プロジェクトの目的に、「運送業の抱える課題の周知」を掲げる加藤氏。「運送業への就労希望者、特に若年層の取り込みに加え、SA・PAなどの駐車スペース不足や長時間労働、自主荷役など。なかでも、高齢化が進むトラック運送業では、若年層の取り込みは喫緊の課題」と指摘する。「潜在的就労層である16才以上を対象とした業界アピールを、若年層の閲覧頻度の高いSNSで行うことで、運送業への就職希望者を囲い込みたい」と話す。
平松氏は、「映像は個々で捉え方や感じ方が違ってくるが、私なりに思いを込めて制作した。トラック業界に携わってない方にも、『トラックってカッコいい』と感じてもらいたい」と語る一方、「ドライバーの置かれている過酷な環境を知ってほしい」とも。
加藤氏が「今回の一番の目的」と挙げるのが、「問題は山積みだけど、それに負けないドライバーさんたちの日々の頑張りの発信。『トラックドライバーって、かっこいいんだぞ!』、『胸を張れる職業だぞ!』ということを、もっと多くの人に知ってほしい」と語る。
「安全運転で荷物を届けること、時間に追われ、ごはんも落ち着いて食べられず、やっとの思いで目的地に到着することは並大抵のことではない」とし、「休日でもひっきりなしに電話が鳴り、プライベートの時間を削って働く配車マンや経営者も同様。皆が全力で荷物に向き合っているから日本経済は回っている」と強調する。「何事も物が届かないと始まらない。私たちの仕事は美しいし、かっこいいんです」。
同氏がツイッター上でよく呟く「運送業は産業の軸」というメッセージが、同プロジェクトの「アクシス(軸)」の由来。「全ての産業は運送業を軸に回っているが、業界外の人たちには、今までそれが見えにくかった。だから『トラックドライバーは底辺職』、なんていう偏見が生まれたのかも」と肩を落とすが、「日々業務に従事し、仕事を楽しむドライバーの姿を発信していくことで、『見えない』と言われてきた物流の流れを一般消費者にも『見える』化していきたい」と語る。「他産業と物流業は相互扶助の関係であり『共創』の関係。産業を回す軸が強固になるほど、全産業の力もより強くなるはず。この関係性をこれからもっと強くしていきたい。運賃交渉はその第一歩」。
「シリーズ化を目指している」という同プロジェクト。「動画だけでなく、様々な形で運送業の良いところ、改善すべき点を発信したい」とし、「運送業に携わる全ての方が、より楽しく働ける環境作りの一助になれば」と青写真を描く。平松氏は、動画クリエイターのコミュニティにも所属しており、「全国のクリエイターとのネットワークがあり、次回は撮影会も開催したい」と意気込む。
加藤氏は、「このプロジェクトが始動できたのは、全国のトラックドライバーさん達の尽力があったから。本当に感謝している」とし、「今回、日本SCM協会からも後援を頂いたが、会社ぐるみでご協力いただけるところがあればぜひご連絡を」と呼びかける。
■加藤 光世 氏
事務職として運送会社に入社。育休明けに、「自分には何ができるか考えたときに、タイミングよく『配車』の仕事と巡り会った」という。「最初は、女だし、トラックも乗れないし、経験も浅かったため、ドライバーさんの辛さや大変さもわからずに、頭ごなしに配車して、沢山の人に叱られた」と振り返る。
転機が訪れたのは、「ベテランの配車係に『ドライバーもお客様』と教わった時。どうすればドライバーさんが働きやすい業界になるのか考えるようになった」。
配車係として経験を積み、業界を盛り上げようと2017年からツイッターを開始。実直さと歯に衣着せぬ発言で、今では4000人以上のフォロワーを抱える人気アカウントに成長。トラックドライバー専用総合情報サイト「ブルル」での公式ブログもグーグルの急上昇記事にピックアップされるなど、注目を集めている。
■平松 廣也 氏
IT企業で営業兼SEを経験後、4年前に平ボディの大型トラックドライバーに転身。映像に興味があり、約440名のクリエイターが参加しているオンラインサロン「TranSe salon(トランスサロン)」に所属してから本格的にクリエイターとしても活動を開始。その頃から、「トラックドライバー達の動画を作成したいと思っていた」が、「何気なくSNSを見ていた時に加藤さんの投稿を見つけ、すぐに連絡をとり、共同制作させてほしいと志願した」。
◎関連リンク→ Axis Log Project
◎関連リンク→ 配車女子 とら子の「一配一会」
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