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    関東西部運輸に事業許可取消処分 対策講じるも改善に至らず

    2019年4月18日

     
     
     

     関東運輸局は8日、西部運輸(広島県福山市)のグループ会社である関東西部運輸(田口哲士社長、千葉県野田市)に対して、貨物自動車運送事業の経営許可を取り消す処分を下した。同社は2017年5月以来、度重なる法令違反により事業停止命令などを受けてきたが、今年1月の監査で累積点数が許可取り消しの基準となる81点を超過した。大手路線会社の下請け業務を担い、車両台数400台、従業員数500人を数える同社の事業許可取消処分の決定は大きな波紋を呼びそうだ。

     関東運輸局並びに千葉運輸支局は去る1月17日に関東西部運輸本社営業所を訪問。昨年7月に同社に下された30日間の事業停止処分に対する確認監査を実施した。その後、確認監査から特別監査へ切り替え、17日及び23日の2日間に渡って監査が行われ、複数の法令違反が確認された。

     今回の監査で確認された違反は、「乗務時間等告示の遵守違反」「点呼の実施義務違反等」「運行指示書の記載事項義務違反」「運転者に対する指導監督違反」「事業計画事前届出違反」の5件。これまでの累積違反点数73点に10点が追加され、計83点に達した。これにより、「貨物自動車運送事業者に対する行政処分等の基準について」で規定される違反点数81点以上となったことから、4月22日をもって事業許可を取り消す処分に踏み切った。

     同社はこれまで複数回に渡り、法令違反による処分を受けてきた。2017年5月に、36協定で定めた労働時間を大幅に超過する最大246時間の時間外労働を行わせたことで書類送検されたことを皮切りに、同年11月には再び違反残業で書類送検された。2度の書類送検を受け、千葉運輸支局が同社本社営業所に監査を実施。翌2018年7月には今回の確認監査の端緒となった30日間事業の停止処分が下った。

     さらに、同年12月には関東運輸局管内の7営業所で3日間の事業停止処分を受けた。わずか2年足らずの期間に書類送検2回、事業停止処分2回を受けるという異例の事態となっていた。

     17年の書類送検以降、同社では一部運送契約の解除、人員の再配置、社長をトップとした「コンプライアンス委員会」の設置など対策を講じてきたが、違法な労働環境や運営状況を改善するには至らなかった。

     同社グループは九州西部運輸(福岡県小郡市)の営業所を関東に開設する許可を申請するなど対策に乗り出しているものの、これまでの輸送サービスを代替えすることは容易ではない。現在、裁判所に許可取り消し処分の差し止め請求を行っており、今後の動向が注目される。

     グループ全体で車両1000台以上を保有する準大手会社の一角が事業取消処分を受けた衝撃は大きい。度重なる法令違反を続けてきた同社の姿勢は当然、非難されてしかるべきものだが、根本の要因には運送業界の多重構造という問題がある。実運送を担う運送事業者の間では、今回の処分を機に業界の流れが変わるのではないかと見る向きもある。

     長距離輸送をメインに全国規模でサービを展開する富士運輸(奈良市)の松岡弘晃社長は、「大手運送会社はコンプライアンス上、自社のトラックでできない仕事を下請けへ流すというのは全国的にまだたくさん存在している」と話す。

     同社では、国交省の指導が入ったことをきっかけに、7年前に大改革に乗り出した。13時間を超える仕事は一切断るなど、コンプライアンスの徹底に取り組み、一時は利益も大幅に下がった。ドライバーの5%が半年で退職し、顧客との交渉も難航したが、それでも交渉を重ねコンプライアンスの徹底を図ったという。その結果、今では収益も改善し、同社の考えに取引先も理解を示している。今回の処分について、「違法と知りながら断れなかった経営陣の判断の甘さと、断らないことをいいことに甘えていた荷主の姿勢にも問題がある」と同社長は指摘する。

     「日本の物流システムが変化する時期に差し掛かっている」と分析するのは、置田運輸(横浜市中区)の置田圭三社長。労働環境については積極的に荷主と交渉しているという同社。社員第一の考えから、長時間労働が改善されない荷主との契約を解除するなど強い姿勢で改革に取り組んできた。

     下請けの犠牲の上に成り立つ現在のリードタイムや物流システムそのものが、行き詰まりを見せているのではないかと指摘する。改革を進める上で運賃のアップは重要だが、そのためには「エンドユーザーの理解を得ることが必要となる。働き方改革を含め、議論を始めるべきタイミングがきている」と強調する。

     今後、コンプライアンス違反に対する見方はより厳しいものになることが予想される。日本の長距離輸送は潮目を迎えたと言えるのかもしれない。

     
     
     
     
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