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物流ニュース
業界支える高齢ドライバー 経験豊富な現場のキーマン
2019年6月28日
一般車両ではあるが近年、高齢者による重大事故が社会問題とされている。運送業界も高齢化が進み、厚生労働省の賃金基本統計調査によれば、長距離運転者などは毎年1歳近いペースで平均年齢が増加しているという。多くの運送企業に高齢ドライバーが在籍しており、業界の若返りが望まれるが、彼らもまた物流業界を支えているキーマンでもある。一方で高齢化による運転能力・体力の変化もあるとされており、高齢ドライバーの増加に各社で対応が求められている。
野口興産(野口裕二社長、東京都練馬区)物流管理部の星田暁輝氏は「弊社で走るドライバーでも、現在は40代が多くなった」とし、「運送業務は集中力を要し、負担も大きい仕事。個々のドライバーで差があるので、続けられる年齢も様々だが、一定以上の年齢を超えて運転に不安を覚えることがあれば、声を掛けるようにしている」と話している。また、同時に「物流業界の中で、ドライバーを辞めても、まだ働きたい人のための場所が必要では」と分析している。
東京アルファライン(早川啓介社長、埼玉県八潮市)ではドライバーの定年を60歳と設定している。同社の平田静雄部長は「当社は長距離便が多く定期が少ない。ドライバーの体力変化と安全を考慮して、今は60歳としている」と話している。しかし、同社は今後、定期かつドライバーへの負担の少ない配送ルートを導入予定でもある。こうした新たな配送ルートの開拓によりドライバーの定年が伸びる可能性もあるという。平田部長は「最低でも65歳定年は目標としたい」としている。
さらに同社では、人材派遣事業の開始に向けて準備を進めている。実現した際には、トラックドライバーを続けることが難しくなった者へ、新しい仕事を探す窓口に活用するとのこと。平田部長は「本人が希望する限り長く働く場を提供できる会社にしていきたい」としている。
高齢化が進んでいるのは、運送業界だけではない。全日本内航船員の会(東京都墨田区)の松見準氏は「内航船業界も高齢化が進んでおり、内航の大半を占める小型内航では50〜60代でも若手とされるケースもある」としている。
同氏によると、大手以下の小型内航であれば、一度定年退職した80歳近い船長クラスの人間が、現場の船員の休暇を作るために臨時で戻ることも珍しくなく、「人手不足なのもあるが、望めば長く現役でいられるケースも少なくないのでは」と分析する。
定期健康診断をはじめ健康起因事故対策も行われているが、高齢者が仕事を続けられる背景として、松見氏は「船主などの意向も一部反映されている。業界では、50〜60代のベテランに任せた方が安全で安心できる、という風潮もある」としている。同氏は「産業内で次世代を育て、若返りを狙うことは業界の重要課題の一つ。そのためにも、高齢船員に長く現場にいてもらい、若手にノウハウの継承をしてもらうことが重要」と力を込める。
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老害の間違えでしょ
私は年寄りを見ても「老害」などと言いたくないし、若者を見ても「最近の若え奴は」なんてクソダサいセリフは吐きたくない。どの世代にも害になる人間はいますよ。