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物流ニュース
NHKが契約率、支払率を高率にミスリード 疑心暗鬼に…
2019年12月6日
テレビ受信が可能なカーナビなどの機器でも受信契約が必要とするNHK(上田良一会長、東京都渋谷区)が、受信契約を結ぶ事業所の割合(受信契約率)が実際よりも高く出るような集計方法を用い、高く出た契約率を公表していることが分かった。各事業所は、部屋や自動車などの区切られた空間にテレビ受信機を設置していれば、各部屋や自動車ごとにNHKと契約することが法規で義務付けられているが、契約率は事業所数ではなく部屋や自動車の数をもとに算出しており、「契約対象の事業所をミスリードしかねない」との見方もある。自動車(トラック)や部屋が現場ごとに複数ある物流のような業態では、「どこまでまともに受信機数を申告すればいいのか」と疑心暗鬼になる事業所もある。
放送法は64条で「協会の放送を受信できる受信設備を設置した者は、協会と、その放送についての契約をしなければならない」と定める。また、総務大臣が認可した放送受信規約は2条2項で「事業所など(中略)の放送受信契約は、(中略)受信機の設置場所ごとに行う」とし、同2条4項は設置場所の単位を「部屋、自動車または、これらに準ずるものの単位による」とそれぞれ定める。
つまり事業所は、カーナビなど「放送を受信できる」機器を設置した自動車などの所有者であれば、NHKと受信契約が義務となっていると読める。
こうした状況を説明するものとしてNHKは、2018年度末における「契約率・支払率」のデータをホームページで公表している(写真)。
その中で事業所に関してNHKは、「経済センサス」をもとにした全事業所数から免除対象事業所などを差し引き、法規的に受信契約義務のある「受信契約対象数」381万件(写真中の④)を推計。また、実際の事業所契約数354万件(同⑤)と「事業所支払数」352万件(同⑥)を示す。
④、⑤、⑥の数値を使って導き出せる「事業所契約率」(⑤÷④)「事業所支払率」(⑥÷④)もNHKは掲載。いずれも「93%」と高率であることを示している。
率の分母がいずれも④、つまり受信契約対象の事業所数であることから、契約率や支払率を出すためには、それぞれの分子にも事業所の件数を持ってこなければならないのは当然だ。しかし、NHK広報部は本紙取材に、「(⑤、⑥は)必ずしも事業所の数というわけではない」と説明。また「事業所の契約単位は(法規にあるとおり)部屋ごと、事業所が所有する自動車ごと」とも説明する。
「率」の分母に事業所数を、そして分子には部屋や自動車の数を。こうして導き出される「契約率」や「支払率」は、それを高率であるように見せかけるミスリードにつながるものではないか。広報部は、「見解として、そういうように読めなくもない。そういう風に思われる方もいるかもしれない」と答えるに留まっている。
また⑤、⑥の数字のうち、契約のある事業所の実数(純契約事業所数)などの数値の公表について広報部は、「NHKとして把握しているかどうかも含めて回答していない」と答えている。
「2、3年前にも同じようなものが送られてきた」。兵庫県内の物流事業者は、「NHK神戸放送局阪神営業センター」から届いた書面を手に話した。当時の書面に答えることで、事業所内にあるテレビ1台分の契約を結ぶことになり、受信料も支払っている。
だが、今回の書面には、「事業所は設置場所(部屋・自動車)ごとに契約が必要となっております」と書かれるなど、以前の書類にはなかった表記も見つけた。
阪神営業センターの担当者は、本紙に「今回、パンフレットの図もつけるなど、カーナビの受信契約を前面に出した。カーナビをつけていますという回答も多くなり、手続きを進めてもらっているところ」と話している。
書面を手に事業者は、「カーナビでも受信料を払えという裁判所の判決が今年の春あった。本当に払わなければいけないのか」。NHKがホームページなどで訴える「公平負担」を突き詰めて考えるほど、事業者は「そうはなっていない現実よりも一歩ウチが先んじる必要までは感じない」という。つまり、どれだけの事業所があるうちの、どれだけの事業所が受信料を払っているかの客観資料もないまま、自分だけが払えるか︱︱といった感覚だ。
法規上の契約の義務とは別に、そうした疑心暗鬼が事業所の契約当事者を分断する社会的な構図に違和感も覚える。公平負担という観点から見ると、「ウチには一度も書面などきたことがない」という事業所が、本紙が聞き取りしただけでも複数あることも見逃せない。
どのように書面の送付先を選定しているかなどについても、NHKには説明してもらいたいところだ。
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さすが犬HK、そこにしびれるあこがれるぅ