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    【シリーズ「物流業界と偽装請負」】第4回

    2007年7月24日

     
     
     

     前回、派遣先企業が派遣社員に対して「雇入れの申込」をしなければならない時期に各社が差し掛かっていることを説明したが、ここで台頭してくるのが「ノウハウを蓄えてきた派遣会社」である。もともと「人員調達力」に強みを持っており、ある派遣会社の役員も「荷主企業に対して、このタイミングにかかる負担を軽減する効果的な提案ができる」と自信を見せ、すでに営業成果も出てきているという。


     人材ビジネス業界の一部では「蓄積してきたオペレーションノウハウを活かすことで、昭和61年の労働省(当時)告示第三十七号(派遣と請負の区分基準を明示)を遵守した、本当の意味での『請負』契約に切り替えることもできる」とビジネスチャンスを見出しているという。
     これは、運送事業者にとっての「荷主企業」が、3PLなどの「元請物流会社」から、「派遣会社」へとシフトしているということを意味する。すなわち、以前はあくまで自社の人手不足を補うために活用していた「派遣会社」にポジションを奪われつつあるのだ。
     そもそも偽装請負の問題点を、厚労省の木下敬志請負事業対策係長は「労働者の観点に立つと、雇用主がはっきりしないため、万が一労災が起こった場合の責任の所在が不明確であること」や「指揮命令系統が複雑で、事故が発生しやすいこと」と説明する。他にも、社会保険など福利厚生面での不備や、雇用契約を容易に打ち切られやすい立場にあるなど、偽装請負の状態にある労働者は極めて不安定だと言える。
     一般的に「派遣」という雇用形態自体が不安定だと捉えられがちだが、一方で、福利厚生を充実させるなど「雇用主」としての責任を全うし、労働者の支持を集める派遣会社もある。派遣ドライバー事業を手がける人材ビジネス大手・グッドウィルの小林周一事業部長は、「当社の福利厚生面に安定性を見出し、あえて『派遣』を選ぶドライバーの方も多い」と説明。社保未加入率の高さは運送業界が持ち続けている課題だが、同社はこの問題をクリアにすることで、「安定を望む」ドライバーを多数確保している。
     すでに訪れつつある労働者不足の時代、労働者に対していかに「安定した生活」を提供できるかが、人材確保力、ひいては企業力そのものの有無を決する要素となっていくのだろう。

     
     
     
     
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