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物流ニュース
日本郵便・北村会長「日通と提携、ヤマト・佐川に対抗」
2007年12月17日
郵政民営化により、日本郵政グループが10月1日に発足。同5日に日本通運と宅配便事業の統合・包括的な提携を発表するなど活発な動きを見せ、物流業界の注目を集めている。郵政グループで物流サービスの提供を担う郵便事業(日本郵便)の北村憲雄代表取締役会長兼CEOに今後の戦略を聞いた。
◇
―日本郵便の会長、CEOとしての抱負は
「過去を否定するのではなく、いままで培ってきたいいところは伸ばしていきたい」
―就任してこれまでに感じたこと
「この2か月間、郵便物の不適正な認証事務や後納料金の取り扱いなどの問題が起き、大変迷惑をかけた。本来ならビジネスのあり方やITの展開など、もっと前向きにやるべきところがなおざりにされていたが、出来るだけ迅速に仕事の改善を図りたい」
―日本郵便の強いところは
「問題が発生した中にあっても大過なく処理できた。これは郵便事業会社の現場力が強いということ。真面目で集中力を欠かさない仕事への取り組みは、民間企業でもこれだけのものはないと評価している」
―現状と、郵便事業の中・長期的な見通しについて
「メールやインターネット、携帯電話がこれだけ普及した中で、郵便事業が右肩下がりになるのは仕方ない面もあるが、放っておいてはいけない。努力をこれまであまりしてこなかったが、文を読むという世界を取り戻す努力はすべきだ」
―原油価格高騰の影響は
「1円上がると1か月に600万円程度コストが上がる。車両をハイブリッドや天然ガス車などに替えるとともに、サービスやオペレーションに支障がないよう4輪から2輪や3輪に替えていくことも重要。また、現状では燃料の一括購入の比率は50%程度だが、この比率も高めたい」
―駐車規制の優遇撤廃の影響は
「コインパーキングや月極駐車場の使用など現時点で年間2億円程度のコスト増になっているが、これはしっかり対応する。台車など色々な仕組みを取り入れていく」
―ゆうパックの現状の評価について
「ゆうパックは百貨店などが主流になっている一方、中小口の荷物が手薄になっている。現在のマーケットシェアは8.4%で、残念な数字。中小口をかさ上げし、オフピーク時の山を高くしていきたい」
―ゆうパックの今後の展開について
「一番の強みは、全国にまたがるネットワーク。品質を上げて中小口を増やすほか、通販やネットオークションなどの分野にも注力したい」
―セールスドライバーを導入しているが
「中小口の開拓のためには、一定のエリアで営業、集荷、配達を一緒にやることが大事。横浜港北支店と品川支店でテストしており、いい成果をおさめている。来年早々から都市部で拡大していきたい」
―3PL事業の現状と今後の展開について
「ノウハウを養っていかなければならない部分。ノーリツ鋼機さんの案件では荷役、保管、流通加工、配送などの業務を受けて順調。今後もトータルな物流サービスを提供できるよう拡大したい。具体的にどう入っていくかは、これからの課題」
―日本通運との包括提携について
「それぞれ20人体制で、オペレーションや人事など共存共栄を図るために、どうすればいいのか詰めている。細かいことをお話しできる段階ではないが、輸送形態や拠点配置、トラックの混載の仕方などで見直しできる。ゆうパックとペリカン便を統合する以上は、難しいかもしれないが、ヤマトさん、佐川さんを脅かすくらいにならなければいけないし、競合他社を脅かすことが出来なければ面白くない」
―宅配便のシェアの目標は
「目標は当然あるが、いまははっきりとは言えない。どのような性格の会社にするのかという根本を固めるのが先決」
―リストラはあるか
「人の削減はやろうと思っていない。地域によって人口分布も変わり仕事量も変化しているので、要員配置は見直す必要もあり、適正な陣容を配置して、スリムな形でまわしていくことが重要」
―M&Aは
「やるべき事業によって必要な機能を取り込む提携を行う。郵政の持つ公共性的なイメージ、安心と信頼のブランドが機能するような場合、積極的にするケースも出てくるかもしれない」
―国際物流について
「TNTとの話がつぶれたが、我が社としては、もっと具体的な戦略を持つ必要があると思う。例えば、フォワーダー機能を固め、それをベースに幅広く様々な企業と提携していくことは必要だと考えている。郵便事業を基盤とし、一般貨物も扱うバランスの取れた経営が必要。EMSはあくまでも郵便事業の輸送モードであり、一般貨物との住み分けを明確にしていく」
―座右の銘は
「『リスペクト』。人の話をしっかり聞く、人の立場になってものを考えることを重視している」
◎関連リンク→日本郵便 -
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