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    軽油高騰でBDF(バイオディーゼル燃料)が人気

    2007年12月18日

     
     
     

     原油価格の高騰で先行きが見えない中、トラックなど大口の軽油ユーザーの間で、再び廃食油を使ったバイオディーゼル燃料(BDF)への関心が急激に高まっている。
     昨年8月にBDFの精製を開始した知的障害者入所更生施設「姫路学園」(兵庫県姫路市)でも徐々に廃食油の確保量が増えており、再生されたBDFが地元自治体のゴミ処理車に採用されるなど実績を伸ばしている。
     ただ、最大の課題は「最新の排ガス規制に対応しているトラックには使えない」(同学園の栄藤岩夫・事業部長補佐)という点。高騰する軽油価格の代替燃料としてだけでなく、だれもが環境に優しいと認めるBDFが、物流現場では使えないという矛盾も垣間見られる。


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    姫路学園で活躍する軽四ローリー
     昨年9月からBDFの活用を始めた百貨店配送の山陽デリバリーサービス(同市)はこのほど、およそ1年余りにわたって使ってきたBDFの利用を停止した。「BDFを使っていたトラックが(NOx・PM法によって)代替え時期を迎えてしまったため」と井奥和也・代表取締役は説明する。「5000km走行ごとにフィルターを交換していれば何のトラブルもなく、『燃費もよくなってきている』というドライバーの声もあっただけに…」と残念そうだ。
     航空貨物やペット用品などを扱うシキトウサービス(同市)でも最初に活用した4t車が「制限時間」を迎えたことで現在、平成11年式の2t車と同1t車の計2台でBDFを使っているという。同社は姫路学園のBDF事業に当初から関係しており、「定期的にフィルターを交換していれば問題なく、むしろ馬力を感じるくらい。ただ、いまのトラックが代替えの時期になればBDFを使えるトラックがなくなってしまうのが現実」と清瀬一郎社長。
     また、姫路学園とは別に、独自でBDFの精製に着手したのが競走馬輸送を手掛けるサラブエクスプレス(西脇市)。矢納利夫社長によれば「都市部にある競馬場への輸送業務などを考えれば、さらに積極的に環境問題に取り組む必要があると感じていた」という。精製装置を購入し、手のあいた運転者が廃食油を回収するなどしてBDFの利用を本格化させており、現在は大型トラック3台と乗用車で使用。「(てんぷらなどの)におい以外に問題はないが、課題は材料となる廃食油の安定した確保」と話す。
     一方、姫路学園が手掛けるBDFの単価はリッター85円。シキトウサービスの清瀬社長が「使い始めたころは軽油との差額が10円もなかったが、いまは大きな差となっている」と指摘するように、高騰を続ける軽油価格を横目に、トラック事業者がBDFへ関心を示すムードが高まっているのは間違いなさそうだ。
     ただ、「現行の環境法令によって代替えした車両には使えない」など当面する課題に加え、大阪府などで施行が予定される厳しい環境条例も踏まえれば、さらにBDFにとって逆風が強まりそうな状況にある。
     廃棄物を活用するという地球に優しい燃料と、それを使った環境に優しい取り組みに臨む企業の割り切れない思いが伝わってきそうだ。 

     
     
     
     
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