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    「地方」で生き残る厳しさ…都市部に拠点構えて仕事を確保

    2008年4月8日

     
     
     

     兵庫県東部の山間地。この地域で建材などの物流を担う運送会社の担当者は、「都市と地方の格差が激しい。どう生き残ったらいいのか」と真剣な表情で話す。だが、同じ地区に本社を構える40歳代の若手経営者は、こうした悩みとは無縁の様子だ。5年前の岐阜営業所、2年前の大阪連絡所に続き、今春、神奈川県にも営業所を開設する運びだ。
     岐阜に営業所を出したのは、不祥事で荷主が廃業に追い込まれた「事件」がきっかけだった。定期便化していた荷物がなくなったことで大打撃を受け、地元は「連鎖倒産」のうわさで持ちきりとなった。


     「中部方面の配送をお願いしたい」。取引先の運送会社からあった適時の依頼で、ためらうことなく初めて営業所を出した。転勤に応じてくれた従業員の存在と、荷姿は変わるものの、車がそのまま使えたことの2つの幸運が同社を救った。
     経営基盤の安定とともに、今度は攻勢に打って出た。大阪連絡所の開設だ。「運賃収入だけではこの先しんどい」との認識はかねてからあった。以前から取引のあった中堅の物流会社から、オフィス需要のコンピューターの設置とセットアップに立ち会う仕事が紹介され、物流会社の敷地内に連絡所を設置。
     「作業前の安全確認から始まり、従業員がそれぞれに勉強していた。やる気を生かしてやりたい」。コンピューター需要は首都圏に集まることから、今春、神奈川県に営業所を新設する。「格差が歴然としているならば、出て行って仕事を確保する必要がある」。
     同じ兵庫県の中部に本社のある運送会社は1年半前、大阪市内に営業所を開設した。本社近くの荷主の工場から出荷される製品の納入先が、大阪営業所の主要得意先になった。
     大阪の得意先にも以前から近辺の運送会社が入り込んでいた。「邪魔をするな」の声も聞こえてきた。それでも40歳代の経営者は、製品の勉強を兼ねながら無償で現場の手伝いを数か月間続けた。
     商品の包装に欠かせない「ドライラミネート」と呼ばれる分野で、両荷主は化成品の原材料供給と需要という関係で結ばれている。そのため、物流合理化も提案しやすい。大阪の荷主は成長が見込まれる企業であったことから、倉庫を備えた営業所新設にためらいはなかった。
     経営者は「荷主の製品を含めた勉強を続ける必要は常にある。そのための情報は産業が集積する都市に集まる」と話す。これまで、比較的流動性の低い取引環境下にいた「地方」と呼ばれる地域での生き残りは、厳しさを増すことが予想される。2人に共通の認識もそこにある。

     
     
     
     
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