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物流ニュース
丸全昭和運輸「3PL」「グローバル」柱に売上1,000億円へ
2008年9月11日
創立77年、人間に例えれば喜寿を迎えた丸全昭和運輸。第2次中期計画の最終年にあたる平成17年、社長に就任した野口正剛氏は、長年温めていた計画を就任2年目から行動に移し、現在、第3次中期計画のまっ只中にある。「グループ連結総売上1000億円」を旗印にまい進し、今期は目標達成域に入っているという。
グローバル化を進める拡大路線でありながら、堅実な経営手法という同社。野口社長は「着実に確実に歩みを進めたい」と意気込む。
横浜の地に創業したのが昭和6年。東京オリンピック前年に東証一部に上場し、同49年にアメリカと香港に進出した。「ステップ・バイ・ステップ。基本は、得意先の新規業務へのサービス提供による海外進出。ヤミクモに外に出ない」と語る野口社長。「社員を一人外部に出せば3000万─4000万円はかかる。しかし、将来の展望があれば必要な経費。倉庫を造るにしても、長年の間に償却して利益に結び付ける、国内と同じやり方。わが社のやり方は、派手さはないが非常に堅実。だからこそ大きな失敗はゼロ」と話す。
同社の柱は「3PL」と「グローバル物流」。主力は物流事業で、中でもトラック運送は、19年度グループ全体で約40%を占める。
第3次中期計画を進める野口社長は、「3PL事業を展開するには海外のネットワークが必要。アメリカ、タイ、台湾、シンガポール、昨年四月からはミュンヘンにも進出した。中国沿岸部は網羅しており、今後、インド、ベトナム、ドバイに出て行く予定」。
「自分が社長になってからは、営業に関して『とにかく量を確保しなさい』『売り上げをどんどん伸ばしなさい』『そうすれば相乗効果で利益に結びつく』と、社員に言い続けている」。その甲斐あってか、グループ連結総売上高1000億円という目標は、計画2年目の前期連結で975億円となり、達成圏内に入った。
ところが、二つの新規事業への投資に加え、サブプライムローン問題や燃料高による影響が濃く、今期は計画通り1000億円の達成を見込むも、「増収減益」と予測。1000億円達成の要因として「新規荷主が2社増えたこと、今年1月にスタートした新事業・消費財関連の流通センターの運営で10億円近くが生み出されたこと、さらに3PL事業で、あるメーカーとの取引が準備期間として投資期間にあったが、年末から20億円強の売り上げが見込まれること」を挙げる。
同社のモットーは、「深耕営業による新規業務の獲得」。従来の得意先と信頼関係を一層深め、得意先の業務拡大に伴い、必要となるサービスを提供し、共に大きくなっていく。
同社は、全社で約1000台を保有するが、トラック事業は各地域にあったコスト管理を目的に、関東から関西にかけ6つに分社化。燃料サーチャージは7月11日に届け出済みという。荷主側から理解は得ており、導入は順次可能と予測。逆に、協力するトラック運送事業者も3000台を数える元請け側として、支払い条件や運賃面ではできるだけこたえるようにしているという。
また、人材問題では、将来的には外国人ドライバーなどの雇用も考える方向になるだろうと予想。すでに、請け負う工場の製造ラインの運営では外国からの労働力を受け入れているが、「真面目で勤勉。ただし、言葉や文化の教育は必要」と話す。
派遣問題に関しても「荷主との請け負いの流れを変えた。我が社への利益はなくなったがグループ会社の利益となるので単体で考えず、グループ全体で考えることにした」。
17年前、60周年時に掲げたのは「地球的規模で物流をコントロールできる総合物流企業を目指す」。同社は得意先と一緒に企業成長することを積極的に進める。(小澤裕記者)
野口正剛社長=昭和17年神奈川県生まれ。中央大経済学部卒。同39年入社、平成5年取締役、同15年代表取締役専務、同17年同社長に就任。主な社外役職は横浜回漕協会副会長、横浜港運協会理事、横浜通関業会副会長、日本港運協会理事。趣味はゴルフ、城郭探訪。 -
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