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射界
2016年5月16日号 射界
2016年5月20日
ささやかな庭に季節の花が植えられると華やかさを誘い、食べ物に少量の香辛料が加えられることで味は倍加する。夜空には星があってこそ輝きを増し、身なりを整えるのにアクセサリーの一つもあれば華やかな彩りとなるように、日々交わされる会話の中に、「諺(ことわざ)」の一つでも差し挟めば言葉も生きてくる。
▲「寸言よく人を刺す」という諺があるように、言葉をいたずらに羅列するだけでは説得力に欠ける。ここぞと言う時、的確な諺を引用すれば真意を伝えるのに有効であり、聞き手も理解が早くなる。その結果、人の気持ちをキャッチすること間違いないだろう。引用される諺は長年、人々の間で使われ、磨き上げられた妙なる響きが秘められ、その語感が聞き手の琴線に触れれば効果大である。▲諺は古くから人生の知恵を表現したものと親しまれてきた。処世のための短い有効な教訓などを意味づけて慣用されており、言葉と言葉をつなぐ潤滑油的な働きもあって会話を面白くし、その場を和ませている。理解に苦しむ聞き手の気持ちに少しでも癒しや励ましとなれば幸いだ。時と場合によっては聞き手を「ぎゃふん」と言わせる威力さえ発揮するから面白い。俳句より短い表現も特色だ。
▲古くは聖徳太子の残した「和を以て貴しとす」は今なお、千数百年を経ても広く慣用されているが、一方で死語化した諺も数少なくない。「鶏は三歩歩けば忘れる」などは全く通用しなくなっている。古代から現代まで、5万とも6万ともいわれる諺が生まれているが、生まれた過程や時代の変遷で死語化する諺がある一方、再生されたものなど、様々な生き方を演じながら会話を彩っている。
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