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射界
2016年8月15日号 射界
2016年8月26日
スポーツ競技で、ライバル意識を露わにして競い合うのが女子マラソン観戦の醍醐味だ。選手はお互いの実力を知り尽くしており、レースで走る順位と位置づけを考えながら、後半どの地点でスパートをかけ、ライバルを揺さぶるかと作戦を練る。それにはもちろん、自らの走りが完璧であるのが前提で、練習で調整される。
▲その意味で、マラソンはライバルを意識しての苛烈な争いである。十分争える力量を養って、加えてコースを走るなかで多様な駆け引きが必要とされる。勝者インタビューで、「ライバルの存在が大きかった」と相手選手を礼賛するが、そこに「競い合う好敵手」という認識があるかどうか、その真意を確かめる術はない。ライバルは「好敵手」と和訳され、フレンドリーな語感が漂う。▲マラソンの長丁場で見せる駆け引きは、決してフレンドリーなものではない。記録と勝敗を争う「敵」の認識でしかないだろう。しかも緻密な計算に基づく駆け引きが織りなすなかでの勝負だ。勝負である以上、勝たねば意味がない。そこにはフレンドリーさなど微塵もなく、絶妙な駆け引きを見せながら、いかにライバルである「敵」を蹴落とすかに専念する厳しさが見られる。
▲仕事の場でも、ライバルの存在について取り沙汰されるが、その存在は「敵」でなく仲間である。あえて「敵」の存在を考えるなら、それは自分自身と認識したい。「仕事が難しい」と手抜きしがちになり、中途で諦めたりする。そんな自分と闘いながら目的達成に向かって努力する。挫折しそうな甘い自分(敵)と闘いながら、所期の目的を果たす。自らをライバル視して努力するのが大切である。
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