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射界
2017年5月1日号 射界
2017年5月11日
功なり名を遂げた成功者に「今、何が一番の望みですか?」と尋ねると、人それぞれ違った答えが返ってくる。ある人は「名誉」と言い、「カネ」という人もいる。逆に「名誉もカネも要らない。欲しいのは若さだけだ。若さが手に入るのであれば、自分の持っている全てを投げ出してもよい」という人もいて様々である。
▲人は悲しい生き物で、自らが築き上げた、いま持っているモノの価値を正確に知ろうとしないところがある。そのモノを失ってはじめて、それがいかに貴重だったかを遅ればせながら知るようだ。その代表的なものが「青春」と「時」ではなかろうか。楽しかったか否かの違いはあっても、人それぞれに青春の思い出がある。とにかく今日1日を楽しく生きるかに心を砕いたのが青春時代だ。▲若い時代、誰もが時間は有り余っていると思い、直ぐ手掛けるべき仕事すら先送りしていた。間に合わなければ徹夜してでも処理しようと考え、せっかくの時間を無謀に浪費しても悔いはなかった。しかし、年齢を重ねるに伴い、残された時間の少なさに思いを馳せ、青春時代のような時間の無駄遣いを戒め、時間の浪費を反省するが、「時すでに遅し」の感は否めず、後悔するばかり。
▲イギリスの古い格言に「時と潮汐(ちょうせき)は何人も待たず」とある通り、「時間」と「潮の満ち引き」は人を待ってくれずに過ぎ去っていく。大声で呼び戻そうが振りかえってもくれない。これと同じく年齢を重ねて若さを取り戻したいと思っても所詮、それは叶わぬ夢でしかない。年寄りの愚痴でしかないが、それを実感するとき、やはり「時すでに遅し」となるから悲しい。
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