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射界
2019年4月22日号 射界
2019年5月13日
「彼を知り己を知れば、百戦して殆(あや)うからず」とは、お馴染みの『孫子』の兵法にある一節。今さら解説するまでもないほど多くの人が知る教え。言ってみれば、小なりとも経営者たる者は「時流に即した洞察力を持て」と言うことで、経営は洞察力の優劣で決まると言えなくもない。
▲自らが手掛ける仕事の経営環境はもちろん、5年先、10年先のあるべき市場の姿を読み込む必要があり、色々な現象や場面を予想して未来像を描く能力、すなわち「洞察力」を真摯に育てなさいと指摘する。いつの時代でも時代を動かしたのは人間。であれば同じ人間として、将来を先読みする洞察力を発揮し具体化するのは、決して困難ではなく気持ち次第だ。
▲だからと言って、世の中の全てが「洞察力」で解決できるわけではない。多くの能力が複合化して大きな力となり、時代を切り開いてきた。従って、「洞察力」に固執するあまり、落とし穴にはまってはいけない。洞察力の高まりで些細な事柄にまで〝口出し〟をしたくなるが、「知っていても知らないふりをする」芸当も必要と悟るべきで、扱いは慎重さが鍵。
▲組織体として目的を全うするには、参加者全員の共有理念を設定するのに始まり、リーダーたる者は下の者を庇護し指導する役割を果たすべきとなる。それが時として自己保身に反転して、他を顧みない行動に出ることがある。これを戒めて『孫子』は、上位者に自省を促がす。信義に悖ることなく誠実に励んでいるかをチェックする「洞察力」が最も大切と言う。
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