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    尿素水の価格にバラツキ「自家製なら単価45円」

    2010年6月18日

     
     
     

     「それがベターかつラッキーなトラブル」と運送会社社長。何の話かというと、「噴射口が詰まってタンク内の尿素水が一向に減らないものの、車両は故障せず、トラックの馬力にも特に変化がない場合」を、「そう呼んでいる」のだという。ポスト新長期規制に対応した大型トラックは4メーカーとも尿素SCRシステムを採用していることで今後、大型車を走らせる際には尿素水が欠かせなくなる。すでに大手の化学メーカーなどが独自に、また一部の運送会社が地元メーカーなどと組んで製造に乗り出す例も増えているが、ユーザーに話を聞くなかで購入価格に大きなバラツキがあることがわかった。


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     話を聞いたトラック事業者の尿素水の購入単価は、平均でリッター当たり80円ちょっと。大手燃料販社の関係者が話す「エンドユーザーへの販売価格は基本的に90円で、あとは取引条件で変わる」というレベルをある程度は裏付けているが、最も安く買っている事業者の単価が70円だったのに対し、最高値は110円と40円も開きがあった。

     「軽油と同じく、トラックを走らせる限りは必要という思いはあっても、例えば関西から関東まで走って消費量は20リットル程度とわずか。尿素の値段を気にしたことはない」と話す運送社長は現在、取引荷主の関係会社から85円で買っているという。「名前の通ったブランド尿素水でなければ驚くような安値も存在すると聞くが、わずかなことでトラックが壊れても大変」という思いもある。

     一方、「軽油の密造とはワケが違うから、当初から堂々と自家製の尿素水を作ってトラックを走らせてきた」と話すのは、平ボディーをメーンに動かしている運送社長。「尿素水の噴射口が詰まって炭化し、それが原因で極端に馬力が落ちたという話を聞いたこともあるが、うちでは一切のトラブルはない」という。

     同社が自家製の尿素水を作りだしたのは4年ほど前で、当時の対象トラックは2台。ビニール袋に入った20キログラムの尿素を肥料店で購入し、電動ドリルの先端を改造して掻き混ぜ装置を作った。「お湯に尿素を放り込んで丁寧に掻き混ぜれば、冷めても再結晶することはない」と説明。1袋800円の尿素から18リットルほどの尿素水が作れるというから、自家製の単価は約45円の計算になる。

     無色透明なアドブルーと並べると薄茶色に濁っているが、「ろ紙などを使うことで同様の透明になる」。4年前から2年半ほど、自家製の尿素水で大型トラックを動かしてきた同社だが、最近は業者から購入しているという。「尿素水を使うトラックが十数台に増えた」のが原因だ。

     それまでは業務の合間を縫って社長自身が作っていたが、「帰庫したドライバーから『尿素が切れた』という申し出を聞くのが苦痛になった。ただ、対象トラックが少ない会社なら十分に対応できると思う」などと話している。(長尾和仁)

     
     
     
     
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