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レッカーを利用した脱法行為が増加
2010年7月2日
トラック運送事業に比べ、法的規制が極端に緩いといわれるレッカー業界。そのレッカーを巧みに利用して、過積載や通行規制などの規制を免れている運送事業者が存在するという。 東海地方でレッカー業を営むA社。同社社長は、このところ増加している運送会社からの要望に疑問を抱いている。疑問とは脱法行為的なレッカー要請だ。
「トラックは動くのに、なぜかレッカー要請がある」と同社長。理由を聞くと、「この先で積載重量の取り締まりをやっている」「先導車が必要な仕事が急に入った」といった返事が返ってくる。これはつまり、トラックでは違法となるが、レッカーで引っ張れば違法にはならないケースがあり、そこに目をつける運送事業者がいるというのだ。同社長は「過積載車両でもレッカーで引っ張れば緊急車両としてカンカン(重量取り締まり)を素通りできる。それどころか警察から『レッカーご苦労さん』と言われる」と実態を説明する。
その際、レッカーは故障して動かない車を稼働させる名目から、バッテリーを外すなど一時的に動かなくしているという。そのほか、急な依頼で長尺物を運ぶことになった運送会社のケースでも、レッカーで牽引すれば途端に先導車の必要がなくなる。
レッカー業界は非常にあいまいな存在とされている。もちろん道交法などは適用されるが、トラック運送事業のように管轄する行政機関がなく、法的ルールも存在しない。牽引に必要な車両や設備さえあれば、今日からレッカー業を開始できるのである。
事故や故障などで動かなくなった車両を車体に載せ、有償で運ぶ場合は運送事業許可の取得が必要だ。しかし、単に牽引して移動させるだけなら同許可は不要になる。そうしたことからレッカー業界は、白ナンバーで営業しているケースが非常に多い。
同社長は「レッカー業界も法整備をしていかなければ、こうした脱法行為を売りにする会社も出てくる」と懸念する。こうした実情について国交省では「車検証に最大積載量という項目がないものについては、われわれの管轄外なのでコメントできない」(中部運輸局)としている。(加藤 崇)
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