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    宮型霊柩車が存続の危機

    2010年7月23日

     
     
     

     伝統的な装飾を施した「宮型」霊柩車が存続の危機にある。「角や突起物があってはならない」と規定する乗用車の外装基準に適合しないためだ。葬祭形式が多様化する中、「宮型」には根強いニーズがあり、「大切な遺体を運ぶ車は絶対に荘厳な宮型」という地域もある。「屋根の四つ角を丸くしたら本来の宮型とはほど遠くなり、日本の葬送文化が失われる」と霊柩運送業者らは主張、外装基準の適用除外を求めている。これに対し国は「『シャシー』に乗用車を使用しているから乗用車の安全基準を守ってもらう」と譲らない。事態を深刻に受け止めた全国霊柩自動車協会(坂下成行会長)は13日、行政担当者らを招き、「霊柩自動車の外装基準対応検討会」を開催。事情を説明し、意見を交換したものの国側とは平行線のまま。10月までに第2回の検討会を開くが、解決のめどは立っていない。


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     自動車の「外形」や構成する「部位」の安全基準は「自動車と人との衝突または接触の際に人が負傷する危険性を減らし、または負傷の程度を低減」する目的で、01年に国は拡充・強化を実施した。当時の重点政策「グローバル化」展開の一環として、「世界で最も安全に配慮している」とされる欧州の基準を採り入れた措置だった。

     改正された安全基準は「09年1月以降に製造された、すべての乗用車に適用」されているはずだったが、昨年、国が調査した結果、タクシーと霊柩運送の一部で整備が進んでいないことが判明。タクシーは屋根の上にある通称「提灯」と呼ばれる社名表示灯、霊柩運送では宮型が引っかかった。

     このため国は今年3月29日付で告示を一部改正。17年3月31日までは01年公布の改正安全基準の適用を猶予することになった。

     タクシーとともに「名指しで猶予された」霊柩運送業界は猛反発。「霊柩運送は貨物自動車運送事業であり、国交省も貨物課の所管で旅客課ではない。乗用車の規制を受ける筋合いはない」「車検も貨物車で通っているのにおかしい」として適用除外を要求。さらに全霊協などは、(1)昼間しか走らない(2)スピードを出して走ることはない(3)交通事故は皆無に近い(4)全国で運行している数は、わずか2000台程度──なども適用除外の理由に挙げている。

     法令に準じて「角をなくす」などの改造では、大きなコスト負担となることも無関係ではない。「霊柩車は貨物車なのか、乗用車なのか」といった論議は「昔から指摘されてきたことで、一気に白黒はつかないだろう」との見方が強い。

     
     ただ、猶予期間が残り7年足らずなのに対し、霊柩車の有効耐用年数は13、14年といわれ、代替車両を考慮すると早急に決着しなければならず、全霊協では「完全な除外対象にできなくても部分除外、その他の例外規定を勝ち取りたい」と説明。

     車体に高級木材などで精巧な彫刻(芸術品)や金箔・金具などで神社や寺院のような装飾を施した宮型霊柩車は、「大正時代初期に自動車の上に輿(こし)を載せて運行したのが始まりで、わが国葬送文化の象徴」と全霊協。「時代の趨勢とはいえ、国際基準との調和で100年続いている日本固有の葬送文化が、消滅の危機にさらされているのは耐え難い思い」と、坂下会長は訴えている。(土居忠幸)

     
     
     
     
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