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「荷待ち」解決は不可能か 増える時間外労働
2010年8月12日
運送業界で未払い賃金に対する関心が高まり、各運送会社が対策を行っている。特に食品を中心に輸送を展開する運送事業者では1日15時間労働で1か月に4、5日程度しか休日が取れず、時間短縮を試みるがコストアップなどから、現実には未払い賃金が大幅に増加。経営者は「万一の時の対応ができない」と頭を抱えている。ほぼ無給での作業時間(荷待ち時間)も多く、これを労働時間として考えられれば、食品輸送は3分の1程度が荷待ち時間であるため、実質の労働時間から残業時間を計算すれば2、3時間程度の残業となる。現状では週1日休日制となり、現状の労基法では適正に対応できていない。
大阪市でスーパーや外食産業の食品輸送を行う運送事業者でも「現在、8月の盆前まで1人当たりの労働時間は週6日勤務で90時間を数え、法律で言えば残業だけで週50時間となっている。アルバイトや派遣社員の利用も検討しているが、コストを計算すれば現状ではかなり厳しくなるため、自社ドライバーが1・5人分の仕事をこなしているのが現状。就業規則なども専門家に作成してもらったが現実とは大幅にかけ離れており、もしドライバーが現状に不満を持って、公に訴え出れば対応ができない。荷待ちも平均で1日5時間程度となり、配送先が増えるほど荷待ち時間は多くなる。法律や配送状態を考えれば、われわれ運送事業者では対応しきれない」と語った。実際、食品配送で人材派遣を利用する運送事業者では「長時間労働を強いられる配送については、正社員のドライバーと派遣社員ドライバーを利用して配送している。コンプライアンスを求められる時代であるため、未然にトラブルを防止するために派遣社員を利用しているが、会社の運営に大きな負担が強いられており、収入と労動力を考えれば利益はないといっても過言ではない。大きなトラブルが存在すれば、事業継続ができない綱渡りの状態にある」と話し、現状の労働時間と配送状態では法令順守は不可能であると説明する。
行政では、時間外が増加する場合は、他社(傭車)利用などで時間外増加を防ぐように指導しているが、時間外が多い配送で他社に傭車しても、傭車先の時間外が増えて何の解決にもならない。荷主企業に対する荷待ち時間短縮を訴えていく活動も必要ではないだろうか。(佐藤弘行)
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