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    築いた信頼も荷主社長交代で瓦解

    2010年8月13日

     
     
     

     車両1台から始めて2台3台と増やし、ついに荷主の物流を一手に引き受けるまでに成長。当然、荷主との関係は強固なはずだった。しかし、事業承継という荒波で一気に瓦解、契約解除という最悪の結果を招いてしまった。契約を解除された事業者は「まさか、こんな結末になるとは」と驚く一方で、「一手に受けたことでなれ合いが生じ、危機感が薄れていたのかも」と、自社の脇の甘さも指摘している。



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     食品輸送を手掛ける埼玉県の事業者と、荷主との取引開始は約15年前。知り合いの紹介で、同社がトラックを1台専属で入ったことがきっかけだ。

     同社は常に提案を行い、荷主の物流効率化をサポート。熱心な姿勢が評価され、その荷主に携わるトラックは増加。同社はさらに提案を続け、荷主の物流コストは目に見えるように下がった。相思相愛、まさにそんな関係を築く。

     ところが、荷主の経営者が体を壊してから雲行きが怪しくなる。中小企業の同族経営であり、事業承継の話が出てきたのだ。荷主には入社してまだ経験の浅い社長の息子がいた。彼に引き継がれるのは当然だが、「すぐに引き継ぐのは難しいのでは」という見方もあった。

     同社には荷主と一緒になって取り組んできた自負があり、事業承継で関係が壊れるとは考えもしなかった。「赤字の月もあり、決して儲けがいいわけではない仕事だが、信頼を寄せてくれた相手に応えるために、しっかりと取り組んだ」と同社長は話す。

     しかし、状況は徐々に変化。何かにつけ、クレームを付けてくるようになった。「今から思えば、そうだったんだろうが」と振り返る同社長は、その時はまったく気付かず、弁償や謝罪で対応してきた。揚げ句の果てには、同社ドライバーが荷主の事務員にセクハラしたというクレームまで。「まさかと思い確認したが、セクハラ行為は確認できなかった。ドライバーの名誉にかかわることなので、荷主に無実を訴えた」という。

     そして、荷主との関係がギクシャクし始めた矢先、次期社長である息子から突然、契約解除の知らせが届く。驚いた同社長は荷主社長に確認したが、契約解除は覆らなかった。「息子に任せていることと、ウチのことを悪く報告されていたために、社長が当社に不信感を抱いていたようだ」と同社長はいう。

     後で聞いた話では、次期社長である息子は、以前は別の物流会社に勤務しており、世話になった会社に仕事を回そうと考え、邪魔な同社を排除しようとしたのだという。

     しかし、契約解除の通告に違法性もないため、同社に対抗手段はない。

     同社長は「泣き寝入りするしかない。これまで厳しい仕事も断らず、物流効率化に貢献したはずなのに、そうした経緯を評価されないのは悔しい」と話す一方で、「ここまでやってあげたという慢心があったのもしれない。信頼関係があると思い込み、危機感が薄れていた」と自戒を込めて話している。(高田直樹)

     
     
     
     
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