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ドライバーが労組加入 償却制・歩合制でトラブルに
2010年9月10日
このところ、大阪府では数社の物流事業者が倒産している。一部の事業者では償却制やオール歩合制により、ドライバーが労働組合に加入するなどの事態となった。堺市では折り込み広告などの印刷物を輸送する物流会社が倒産、ドライバー数人が労組に加入した。倒産会社で働くドライバーなどから相談を受けた物流事業者によると、倒産した会社は新聞社系列の折り込み広告用印刷物を小型車で輸送。好景気の時代には小型車1台の売り上げは100万円以上あった。景気低迷で売り上げは80万─90万円に下がったものの、それでも高い売り上げを維持し、相談を受けた物流事業者も驚いていた。
しかし、この会社は折り込み広告の輸送が荷主とのトラブルで契約できず、ドライバーらに退職金と現物(車両)支給を行い解雇を通知した。「会社は利益を上げていたにもかかわらず、倒産で解雇するのは経営者の怠慢」として、一部のドライバーが労組に加入した。さらに別の物流事業者でも、公共事業が入札制で見込みがないことから、会社が突然、一部のドライバーを解雇したが、解雇されたドライバーは労組に加入した。労組によると、「一部償却制のドライバーも存在していたようだ」という。
実際、大阪市を拠点に活動する全国組織の労組では「2年前から償却制や歩合制でのドライバーが、収入が減少したことを不満に労組に相談するケースが増えてきた。景気の良い時は収入は50万円だったが、仕事が減少したことで一気に20万円程度の収入になり、労組や運輸局などに相談や違法行為の告発などを行っているようだ。好景気の時は労使ともに償却制に納得していたが、厳しくなるとトラブルが発生し違法就労、派遣業法違反などで経営者を告発したり、労組に相談するなどの事態になることも多い」と話す。
また、経営・労務相談室の中野嘉之氏は「償却制も歩合制も一部の中身は違うものの、売り上げで収入が変化する。売り上げの何%で収入が決定するため、売り上げの低下で収入も減少する。景気が悪くなれば償却制も歩合制もトラブルの原因につながるため、最低賃金法(総労働時間)や保障制度設置などの規制を守ることで、大きなトラブルも回避しやすくなる。景気動向を考えた制度がトラブルの解消になり、労使円満で事業遂行が図れるのではないか」と説明している。(佐藤弘行)
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