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    活性化する荷主企業のM&A 「運送事業者」倒産も

    2010年9月22日

     
     
     

     荷主の影響を受けやすいトラック業界にあって、活発化する荷主企業のM&Aは、事業者の注視すべき動向となっている。とりわけ、商社がからんだ流通業界の再編は激しく、先を見誤ればたちまち経営が立ち行かなくなるという事態にも直面しかねないだけに、細心の注意が必要といえる。



     食品問屋と取引していたという首都圏の事業者は、その問屋の親会社がM&Aで同社の株式を手放してしまった。そのため同社は、株式を取得した別のグループに属することになったが、それによって一気に30台のトラックの契約を解除されてしまったという。

     「まさかM&Aに遭うとは予想もしていなかった」という同社社長は、その問屋と昨年取引を開始したばかりで、これまで順調に業績を上げていた。そのため「今後もパートナーとして、いい関係が続くと考えていた」というが、M&Aによって環境は大きく変化した。買収したのは商社で、その商社には同社系列の物流会社が存在する。

     物流は系列の物流会社が担うのは当然のことで、M&Aからしばらくして同社に契約解除の通知が届いた。「契約不履行ならまだしも、M&Aによって親が代わってしまったらどうしようもない」と話す同社長は、多少の違約金はもらえたものの、30台近いトラックが契約を解除されるという事態に遭遇してしまった。

     「これまで順調にきていただけに残念だ」と振り返るが、系列の物流会社の下請けに入るわけにもいかず、完全撤退した。30台のトラックが一気に仕事を失うという深刻な事態に遭遇した同社は、「損失は大きいものの他へ切り替えるなど、何とか被害を最小限に食い止めることができた」という。

     一方、千葉県の事業者は、小売りである荷主がM&Aで買収されたことから大きな損失を被り、結局は倒産という結末に至った。

     消費者ニーズに合わせて、店舗を拡大していく荷主の物流を一手に担っていた同社は、荷主の店舗拡大に合わせて物流センターの構築を続けた。センターへの投資は数億円にもなっていたが、荷主の勢いを考えると投資も許容範囲内だった。

     しかし突然、不測の事態に直面する。荷主が身売りをしたのだ。その荷主との取引にかけていた同社にとって、信じたくない展開だった。当然、買収した企業にも、系列の物流会社が存在する。同社は大きな損失を被った。センターを建てるなど、積極的に進めた投資は、まったく意味のないものに変わってしまった。他社へ振り替えることもできず、資金繰りに窮した同社は、あえなく倒産の道をたどってしまった。

     流通業界は動きが活発で、物流会社としても事業拡大が図りやすいだけに、取引する魅力は大きい。しかし動きが活発な分、M&Aなど企業売買も盛んなため、取引を一気に失うというリスクも存在しており、物流会社にとって経営の存続さえ危ぶまれる事態も想定される。

     「これからもっとM&Aは活発化していくだろう」という識者の声があるように、流通業界では先行きの見通しが立てにくくなっているといえる。荷主再編の影響を受けた首都圏の事業者は、「常にアンテナを張っていなければ、いつどうなるか分からない」とした上で、「リスク分散と的確な判断力が求められる」と話している。(高田直樹)

     
     
     
     
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