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労基署が11月にキャンペーン? 「未払い残業賃金」本格調査か
2010年9月28日
弁護士がサラ金のグレーゾーン金利問題に取り組み、過払いへの訴えを行ったことで、グレーゾーン金利が廃止された。次のターゲットとして弁護士が積極的に取り組み出したのが、企業が従業員の残業賃金を支払っていないという行為だ。これにより長時間労働の運送事業者で、多くの未払い残業賃金問題が発生している。弁護士を通じて数千万円や数百万円の未払い賃金を請求される事業者もあり、「次は自分の会社かも」と不安を抱く事業者も多い。さらに、一部の労基署では11月にキャンペーンを行って、未払い残業賃金に対して調査するという話も出ている。
大ト協南大阪支部(坂中良郎支部長)はいち早く、未払い残業賃金問題に関する労務研修会を開催するなど、業界で大きな問題になっているのを踏まえ対策に余念がない。同研修会では、講師に招かれた社会保険労務士の吉本俊樹氏からショッキングな話が聞かれ、参加した多くの事業者が「早急に対策が必要」との思いを抱いたようだ。同氏によれば最近、労基署がピックアップして運送事業者などを調査。その結果、未払い残業賃金の違法行為が多数発覚したことから、一部の労基署では11月にキャンペーンを行って調査するという。
研修会に参加した事業者の中には「何を、どうしたらいいのかわからない」と不安を漏らす者も。全港湾大阪支部では、労基署のキャンペーンについて、「その事実は確認していない。しかし、労基署が調査を行うために事業者を訪問、指導している話は多数聞いている」とし、さらに「労働者からの未払い残業賃金に対しての相談も多く、労働行政も過労・死亡事故などにつながりかねない過酷労働の実態を把握し、事業者・企業に対して改善を進めている。労働環境の改善を図るためにキャンペーンを行うという可能性は考えられる」と分析する。
また、中野経営労務相談室の中野嘉之氏は「事業者からの未払い残業賃金についての問い合わせは多く、労働環境の悪化から、こういった調査が積極的に行われることも考えられる」と説明。各労基署を統括する大阪労働局監督課に話を聞くと、「現状では特別な調査機関は設けていない」としながらも「確認していないが、そういったキャンペーンを計画している労基署もあるかもしれない」と完全には否定しなかった。(佐藤弘行)
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