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    すべての問題は物流2法に 「中小実運送物流変革協会」発足

    2010年10月22日

     
     
     

     一般社団法人中小実運送物流変革協会(冨永昭穂会長)という団体が東京で立ち上げられ、活動を開始した。20年前の物流2法の施行以降、「秩序なき運賃競争」にさらされ、不合理な実勢運賃の下で仕事をせざるを得ない中小トラック事業者のために、現行制度の見直しや運用の強化・充実、新たな法規制などを国に求めていくという。「ドライバーをはじめ働く人たちが『物流という国の基幹産業を担っている』との誇りを取り戻し、人間的で安定した生活を取り戻すため国や行政に働きかけていく。同時に会員相互の情報連携で実利を享受し、経営改革を図っていきたい」と冨永会長。18日現在、首都圏を中心に会員は20社となった。来年3月までに100社を目指す。来月上旬までに馬淵澄夫国交大臣に陳情活動を行う。


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     同協会は7月に設立。8月3日には民主党の松浦大悟副幹事長(国交省担当)と前原誠司国交大臣(当時)の坂上博二秘書に冨永会長ら幹部が面会、陳情活動を行っている。

     陳情内容は(1)規制緩和で実施された事業の「許可制」の厳格化(2)適正運賃収受のための法整備などで、環境対策や安全管理体制を保持できない事業者には「許可を与えない」仕組みを構築することや最低車両台数の引き上げ、また「利用運送事業者」に対する規制強化──などを求めた。報道されなかったのは、「マスコミが介入すると真意が歪んで伝わる懸念があり、とくに広報しなかった」(冨永氏)ためだが、設立から3か月で会員も増え、今後の具体的な展開も固まったことから「物流ウィークリーなら」と取材に応じてくれた。

     馬淵大臣への陳情では、「中型免許制度」と「高速道路無料化」の見直しを追加して訴えていく。

     同氏は「現在、中小トラックが抱える問題はすべて物流2法に起因している。物流2法の目的、趣旨は理解できるし賛同する。しかし、国の運営が問題。現実に苦悩する事業者へのフォローが全くない」と説明。規制緩和で零細企業が数多く参入した結果、「底のない低運賃競争のるつぼにはまっていった」と考える。

     「ドライバーや従業員に世間一般並みの賃金が払えない。例えば2トントラックを8時間運行した場合、現状の運賃相場は2万円前後で時間単位にすると2500円になる。燃料代や車両の減価償却費など必要経費を除くと、ドライバーには賃金として時給850円以下しか払えない。コンビニで働くアルバイトより安いのが実態だ」「時間に追われ、安全運行に神経をすり減らす仕事の対価としてはあまりに気の毒。法令で定められている諸手当、福利厚生費、退職金に回す余裕もなく、年次有給休暇を付与する人員の余力もないのが現実」と嘆く。

     また、「悪質な利用運送事業者」が荷主から法外な安値で強引に受注し、これを零細事業者にあてがうという「自社さえ良ければの身勝手な構図が、業界の歯止めなき安値競争の元凶になっている」と主張。「これが放置されたままでは業界の将来はない」として、利用運送事業者に対する厳格な規制強化を求めていく。「真面目にコンプライアンスを重視して事業を営んでいる事業者が、そうでない事業者とのコストギャップに苦しんでいる。同じ土俵で正々堂々と競争できる業界にしたい」。

     同氏は6月まで、一般社団法人運輸中小企業区域変革物流協会(八田廣實会長)の東京支部長だった。「最低運賃や地域標準運賃の制度化など趣旨はよく分かる。しかし、東京では運賃に絞り込んでの現実的なアプローチは困難と考えた。運賃市場の混乱もやはり物流2法が原因として、国や行政に法律の運営面での改善、改革を迫ることにした」と話す。

     中小実運送物流変革協会では客観的な現状分析に基づく陳情活動を軸に、東京を発信拠点として正会員は実運送事業者、賛助会員は関係企業(メーカー、ディーラー、保険会社など)から募り、「ダイナミックな」業界の改革を目指す。

     また、会員相互の「情報連携」で実利ある事業を展開するほか、次世代経営者を育成するための研修会などを積極的に開催していくという。(土居忠幸)

     
     
     
     
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