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経営者が業務中のケガで入院 治療費は全額自己負担
2011年1月27日
会社の従業員が業務中にケガをすれば労災が適用され、全額労災保険によって補償される。業務外であれば健康保険が適用され、3割負担で治療ができる。しかし、経営者は健康保険には加入できるが、労働者とはみなされないので原則、労災保険には加入できない。そのため、業務外であれば健康保険で対応できるが、業務中の場合は一体どうなってしまうのか。業務中のケガで入院を余儀なくされた事業者は、全額自己負担を迫られたという。
千葉県の事業者は、荷主の業務縮小にともない、倉庫の集約を進めていた。撤退する倉庫の後片付けを、社長自身がフォークリフトを使って行っていたという。その際、運転操作を誤り、足を負傷。救急車で病院に運ばれた同社長は、即手術が行われ、長期の入院が必要となった。個室を希望した同社長は、結果的に3か月の入院を余儀なくされた。1か月が過ぎた頃に、病院から治療費の請求が届いたが、その額は100万円を超えていた。
同社長は経営者であったため、当然、労災保険には加入していない。しかし、健康保険には加入しているため、治療費は3割負担と考えていた。ところが、業務中の怪我だったため、健康保険の適用ができないと拒否された。
3か月間にわたる治療費は数百万円に上った。労災が使えず、健康保険が適用できなければ治療費は全額自己負担になってしまう。幾度も交渉したが、結局、業務中のケガに健康保険は下りないと説明され、全額自己負担となってしまった。
幸いにも同社長は、業務中のケガにも対応する生命保険に加入していたため、自己負担額は大幅に軽減できたという。「もし、独自に保険に加入していなかったらと思うと恐ろしく、おちおちケガなどしていられない」とこぼす同社長。
「われわれのような中小・零細の運送会社の経営者は、何をするにしても、ほとんど毎日業務中だ」とした上で、「業務中のケガに労災保険は使えないと知っていたが、まさか健康保険まで使えないとは知らなかった」と話す。 (高田直樹)
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