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運送事業者でも「荷主」 物流特殊指定の対象に
2011年2月8日
「公取委の実態調査で荷主の横暴を『告発』」の記事(本紙1月17日号既報)で伝えたが、弱い立場の運送事業者や下請け運送事業者に対して、運賃値下げや支払い期日の遅延、減額に対して優越的地位の濫用を効率的に規制するため「独占禁止法・物流特殊指定」が設けられており、一部で匿名による調査が行われている。
こんななか、1月21日に資本金5000万円の運送事業者に公取委が調査に入った。調査を受けた物流事業者に違法行為は認められなかったものの、決算書や請求内容などの資料のコピーを公取委が持ち帰る事態となった。同社は荷主企業数社と取引、一部自社で対応できない輸送を資本金1000万円以下の物流事業者に輸送委託している。荷主企業の中には資本金1億円以下の企業も存在することから、独禁法の物流特殊指定では元請け荷主企業となり、下請けに対して優越的地位の濫用がなされていないかを実際に調査されたもの。
同社は同指定の存在を理解しており、支払いに対しての遅延や減額、買いたたきなどの行為は行っていない。一部、荷主企業の支払いが遅延したため、下請け運送事業者に支払い遅延と取られる行為は存在したが、明確な理由があり違法行為とはされなかった。
調査を受けた運送会社の社長は「今回は荷主企業の支払い遅延があり、当社がその支払いに応じた形で下請けに支払っていたことが説明できたため、おとがめはなかったが、何も考えずに支払い遅延していたら、当社は違法行為となるところだった。当社の資本金は5000万円だが実質は中小・零細企業で、荷主に対して強いことは言えない。やはり、荷物を出す企業に対して、厳しく取り締まりを行ってもらうしかない」と話す。
調査を行った公取委は実例については説明できないとしながら、「資本金に応じて調査対象となることもあり、さらに運送事業者が資本金1000万円を超えて、下請け運送会社に運送または保管サービスを委託した場合は、下請け運送会社が資本金1000万円以下なら、運送事業者であっても物流特殊指定の対象取引となる」として、今回のように、荷主企業でなく運送事業者であっても、資本金により荷主・元請け企業となり、物流特殊指定の対象として調査を受けるようだ。
資本金や物流特殊指定の内容を十分に把握しなければ、いくら荷主企業の支払いが遅いなどの理由があっても、運送事業者が荷主企業として処分される可能性があるので、十分な注意が必要だ。(佐藤弘行)
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