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第32回:重畳的債務取引で冷や汗
2011年2月10日
法律で重畳的債務取引という言葉があります。例えば、個人商店の社長が金融機関から借金をして商売していたところ、その借金をしたまま個人事業を廃業して法人化した場合、金融機関がその借金を法人に引き継ぐように申し入れたときに使われる言葉です。
この重畳的債務引受で大変苦しんだ社長がいます。個人事業時代に金融機関から借金がありましたが、社長はその借金を引き継がずに株式会社を設立しました。他の金融機関からもお金を借りたかったので、無借金経営であるように見せたかったとのことです。おかげで他の金融機関から借金することができたのですが、平成20年の世界同時不況以降、資金繰りが苦しくなった社長は金融機関に借金の元金返済を停止し、利息だけを支払う条件変更を申し入れました。金融機関は株式会社の借金と個人事業時代の借金も、この条件変更を認めてくれましたが、このときに重畳的債務引受という話が持ち上がりました。
社長は「重畳的債務引受を認めるのはいいが、他の金融機関に個人は無借金という話で融資をしてもらっていたから、今になって他の借金が会社の帳面に計上されると、何と言われるだろうか」と心配です。結局、「個人の借金なので個人で返済するつもりが、その金融機関の要請で会社の借金となってしまった」と苦しい言い訳をして、ごまかしたそうです。
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