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高速無料化で事故急増 自民党・木村議員が指摘
2011年2月25日
高速道路無料化の社会実験で対象区間となった路線での事故が急増している。人身事故の発生件数は前年同期に比べ1.6倍、負傷者数は2.5倍、死者数は3倍に増えるという事態になった。無料化区間を含む高速道路全体での人身事故件数は6769件で前年同期比282件増なので、増加した事故の9割が対象区間で発生したことになる。自民党の木村太郎衆議院議員(青森県4区、自民党トラック輸送振興議員連盟メンバー)が国会法第74条に基づき政府に提出した質問に対する答弁書(15日に閣議決定)の中で、国交省が明らかにしたもので、木村氏は「戦略なきバラマキ政策の結果」と指摘する。
高速道路の無料化社会実験がスタートした昨年6月28日から12月末までに、高速道路で発生した人身事故6769件のうち、死者数は104人(前年同期比15.6%増)、負傷者数は1万1536人(同0.9%増)。無料化実験の対象区間に限ってみると、発生件数は422件(253件増)と急増。死者数12人(8人増)、負傷者数689人(408人増)など異状な数値となった。――「事故」で質問した理由は。
木村 料金のことだけに多くの関心が寄せられているが、地元の青森県で無料化区間での事故が急増していたことから「全国的にはどうなっているのか」知りたかった。無料化で毎年、1.3兆円の税金を投入。高速道路を利用しない人も含めて国民一人当たり1万円以上の負担を強いられながら、利用者の生命にかかわる事故が急増したのでは本末転倒と言わざるを得ない。
――全国の実態を知った感想は。
木村 驚いている。第1段階は、もともと地方で交通量も少ない路線だったのに、予想以上に事故が増えた。普通なら無料化して1年目ぐらいに「こうなりました」と自発的に発表すべきところだが、できなかった理由も分かった。私が質問しなければ当分、公表されなかったかも知れない。「戦略なき政策」「バラマキ政策」の結果だ。本来、「この区間で無料化したら事故はこのくらい増加し、死傷者もこのくらい増える」などのシミュレーションを示すべきだった。仮に全部無料化したらどのくらい事故が増えるのか、どのくらい人が死ぬのか。
第2段階でもう少し(無料化区間を)広げるというなら、今度こそ事故増加や交通渋滞のシミュレーションをきちんと出してほしい。
――高速道路無料化について。
木村 民主党は「無料化する」と言って政権をとったのに、現在は単なる小手先のごまかしで「努力している」と装っている。今の割引制度など自公政権時代の政策の延長に過ぎない。高速道路無料化で事故は本当にどうなるのか、きちんと検証しなければならない。トラック業界など、高速道路を使って仕事をする必要がある人たちの「迷惑になる」ような無料化はすべきではない。今後も高速道路政策では「安全・安心」面から追及していく。(土居忠幸)
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