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    3か月点検 自前で済ませる運送事業者増

    2011年3月11日

     
     
     

    truck_0314.jpg 「基礎日車数」と「トラック台数」が掛け算されることで、予想を大きく上回る厳しい行政処分につながる一つが「3か月点検」の違反だ。そのため、最近は適正な車両の点検・管理に取り組む事業者の姿が目立つが、3か月ごとにディーラーなど専門の整備業者に依頼するのはコスト的にバカにならないのも事実で、「目視によるチェックで可能」という部分に注目して「自前の3か月点検」で済ませるトラック事業者も増えているという。ただ、行政や整備業界の関係者らが「トラック事業者による自前の整備が直ちに問題になるとはいえない」と話す一方で、「行政処分やコスト削減に意識が集中するあまり、ペーパー整備が広がる危険性も高いのではないか」と危惧する声も聞かれている。



     3か月点検については「自社で認証を取得して定期点検を実施する」「自動車分解整備業者に全てを任せる」「分解整備に該当する部分だけを専門業者に依頼し、そのほかの項目は自社で点検する」といったパターンがある。ある整備関係者は「3か月点検の項目は、全てが分解を必要としないものになっているが、やり方があることも確かだ」としながら、「自前で整備する場合は、すべての責任を負うリスクも頭に叩き込んでおかないといけない」とクギを刺す。

     かつてディーラーの整備部門で学んだというトラック経営者は、「車検用の点検なら分解整備も必要になるが、単なる3か月点検なら問題はやり方」と指摘。「例えば、タイヤやハブを外したまま点検作業をしていて、むき出しになった状態のベアリング部分に砂ぼこりが入り込むという初歩的なミスがあることを考えれば、むやみに分解することで正常な部分にまで問題を広げることになる」と、整備時代に経験した苦い思い出を口にする。

     現在はトラック事業者で整備業務を担当している元ディーラーマンも「ホイール・ベアリングのガタつきというチェック項目にしても、ジャッキアップしてタイヤを引いてベアリング、押すことでキングピンのガタつきは判断できるし、回してガチャガチャと音がすればベアリングに破損があることもわかる」と説明。

     そのうえで「故障やトラブルがある状態を、まずは自社の整備担当者に見せることが第一歩。そこからステップアップさせることができれば、胸を張って自前の3か月点検業務と向き合えるはず」と補足する。

     一方、「最大の権力を持つ社長が『経費カット』の最優先を掲げれば、何をやろうが不完全(ペーパー点検)になってしまう」と指摘する整備関係者もいる。「運送事業ではトラックを止めないことが基本。万一のケースでも、出張修理やレッカー費用が高くつく運行途上での立ち往生だけは回避し、車庫まで戻らせることができるかが重要。不純な動機で形式的に点検業務を済ませるのではなく、日ごろから整備知識の蓄積に向けて社内で勉強する機会を増やすことが大切」と強調する。

     そのうえで、「分解をともなわない場合は目視による自前の3か月点検で構わないとされているが、怖いのはトラック事業者が『問題なし』とチェックした部分のトラブルで事故などが起きた場合。どこを、どういう手段でチェックしたかと問われて素早く、的確に回答できなければ最悪」と指摘。今後、確実な整備・技術の習得に向けた取り組みも必要といえそうだ。(長尾和仁)

     
     
     
     
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