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    北海道からBDF普及を 循環型社会構築めざす

    2011年3月11日

     
     
     

    bdf_0314.jpg よしむら運送店(吉村勝志社長、札幌市北区)は、循環型社会の構築を目指し、廃食油を原料としたバイオディーゼル燃料(BDF)の製造・使用・販売を行っている。北海道バイオディーゼル普及協議会にも加盟し、BDF普及促進にも努めている。「どのような業種でも、地球環境について考え、取り組むことが重要だ」と語る吉村保彦専務に同社の取り組みを聞いた。



     同社は現在、トラック5台、軽トラック1台で事業を展開。食品、建材、雑貨のほか、産廃の収集・運搬も手掛けている。吉村社長が軽トラ1台から始め、荷主の紹介や口コミで事業が徐々に拡大、「一番営業してくれたのがお客様だった。人とのつながりを最重視してきた結果」と振り返る。

     BDF事業は、吉村専務が02年頃にBDFの存在を知ったことがきっかけ。「目には見えなくとも、荷物の積み下ろし時に排ガスで商品を汚していないのか」「地球を一番汚している仕事だから、地球のことを考えたい」という問題意識があった。数年かけて情報収集を行い、06年頃から事業をスタートさせた。

     現在は、セベック(東京都千代田区)の食用廃油再生燃料化装置「イオシス」を2基導入、装置に「太郎」「次郎」と名付けBDFを製造。一般家庭や飲食店から月間2500?3000リットルの廃食油を無料で回収、このうち90?95%を燃料化する。「自社トラックの燃料はほぼBDFで賄えており、外販も行っている。現在の定価は1リットル110円。「幼稚園で園児に家庭から出る油を持ってきてもらい、BDFにして通園バスに使ってもらっている。子どもらの環境教育につながっている」ケースもあるという。

     製造は社長と専務が行う。「手間とコストを考えると、これで儲けようとするのは難しい」というのが実感だ。

     BDFは、車検証への記載を行うだけでディーゼル車ならそのまま使用でき、CO2をゼロカウントできるほか、黒煙や硫黄酸化物が減少するなど、優れたクリーンエネルギーとして認識されている。しかし、低温流動性やエンジンとの相性、生成の際に生じるグリセリンなど副産物の問題が指摘され、運送業界での普及は、それほど進んでいないのが現状だ。

     同専務は「最新のエンジンなどには使いづらい場合もあり、ディーラーでも否定的な見方をするが、BDFは発展途上のエネルギー。今後の技術の進歩により使いやすいものになっていく。グリセリンは、肥料の発酵促進剤やストーブ燃料として無料で提供し、有効活用している」と説明。「そもそもディーゼルエンジンは広範な種類の燃料を使用できる機関として開発され、1900年のパリ万博ではピーナツ油が使われていた。廃食油の使用は原点に戻っただけ」と笑う。

     最近では軽油が値上がりしたため、運送会社から「コストダウンの観点でBDFの使用の問い合わせがある」というが、「コスト面ではなく、エコの面から着目してもらいたい。化石燃料はいずれ枯渇するので、循環型社会を構築するという考えに共鳴してほしい」と話す。

     将来的には、BDF使用車両による「CO2排出権付き運送」を打ち出し、事業を伸ばしていく考えだ。「気温が低く、使用環境として適していない北海道だからこそ本格的な普及を行っていきたい。北海道をBDFの発信基地にしていきたい」と意気込む。(玉島雅基)

     
     
     
     
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