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被災地へ「俺が行く」 トラック事業の誇り胸に
2011年4月15日
東日本大震災の被災地へ、多くのトラックが緊急物資を運んでいる。被災地では今も様々な物資が不足しており、トラック輸送の果たす使命は大きい。「誰かが行かなければならないなら自分が行く」。被災地へ向かうトラックドライバーの胸には、運送業の誇りが燃えていた。
3月11日の震災直後に東北へ電線の輸送をした神奈川県の事業者。荷主の依頼を受け通常業務として福島県へ向かった。電気を復旧させるために必要な資材を運んだものの、受け入れ体制が整わない。水、食料もない状態の中、何時間も待機場所を点々と移動させられたが、なんとか復旧に必要な資材を届けた。自治体の依頼で水、食料などの緊急物資輸送を行った神奈川県の別の事業者。会社が命令したわけでもないが、出発時には休日の社員も駆けつけて積み込み作業を手伝った。市役所の職員とともに、駆けつけた運送会社の社員がプロの腕で水、食料、燃料などダンボールの大きさも品物もバラバラの救援物資を、ベニヤ板などで補強しながら完璧な輸送を行った。仲間らの応援を背に受けながら、ドライバーは被災地へ出発した。
福島原発関連の輸送に関係した運送事業者は、社内で志願者を募ったという。放射線の影響を懸念する風潮もあるため、ドライバーの意思を重視した。すると「自分が行きたい」と手を挙げたドライバーがいた。若手の2人が志願したのだ。当初はベテランのドライバーを想定していたが、お金でも名誉でもなく「人の役に立ちたい」という若手従業員の心意気に、社長は感動したという。
被災地では仮設住宅の建設も急がれている。そこでパイプラインの整備に時間がかかる天然ガスよりも、LPガスの供給が求められている。神奈川県でLPガス輸送を手がける運送事業者は、震災直後から緊急物資輸送を行ってきた。被災地へ向かうドライバーは志願制にしたが、「自分が行きたい」と全員が志願した。LPガスの供給はトラック輸送が行っている。まさに物流がライフラインであるという誇りが全従業員にみなぎっていたのだ。
避難所が広範囲に点在する東日本大震災。東北道も路面には凹凸があり、被災地は大型車両が通れない場所も多い。こうした困難な道路を走行できるプロのトラックドライバーが、被災者を支える物資を現地に届けている。(千葉由之)
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