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てんかん患者の雇用を継続 免許証返還条件に
2011年5月16日
栃木県内の国道で4月18日、登校途中の小学生の列にクレーン車が突っ込み、6人が死亡する悲惨な事故があった。その後、クレーン車の運転者は事故当時、てんかんによる発作が起きていたことが報じられた。近畿地方にある運送会社社長にとって、このニュースは他人事ではなかった。数年前、自社の乗務員が運転中にてんかんの発作を起こし、追突事故を起こしているからだ。死者こそ出なかったものの、処理は長引いた。
「てんかんだと、一言も言ってくれなかったじゃないか」。社長は、帰ってきた乗務員をそう言ってなじった。しかし逆に、「てんかんで通院しています」と面接時に申告すれば、雇用に踏み切る経営者が自分も含めているだろうか──。うなだれる乗務員を見て、そう思った。「乗務員をこのまま解雇すれば、また別の会社に行って同じことをするに違いない」「年齢も50歳を超え、再就職先すらままならないかもしれない」などと考えた社長は、免許証を公安委員会に返還すること条件に、乗務員に雇用継続を提案した。仕事は、倉庫内で請け負う物流加工の軽作業や車庫の草むしり。請負作業も、一人で機械を使いこなせるなら生産性は上がるのだが、労災事故など何が起こるか分からないので軽作業に留めている。
「うちのような規模の会社で、このような人を雇い続けるのは本当に厳しいこと」と同社長。てんかん患者の運転免許取得は02年の道交法改定で、発作が起きても意識障害を伴わない、または発作が就寝中に限って起きるなどの患者について、条件付きの取得が可能になっている。(西口訓生)
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