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個人償却制でトラブル 「トラックは会社のもの」
2011年6月10日
個人償却という制度を設けている運送事業者もあるが、これは車両償却をはじめ燃料、タイヤ、高速道路などの費用をドライバーが売り上げから支出し、残った部分を給与として得るシステムだ。これまで、この償却制では会社とドライバーの間で数々の問題が生じてきたが、このほど近畿の運送会社とドライバーが車両の所有権を巡って裁判で争い、ドライバーの主張は認められなかった。
ドライバーは自ら開拓した荷主を基に、裁判で争った運送会社で車両数台を使用して事業を展開。車両費用を同社に納めて会社から領収書を受け取り、さらに会社から数人のドライバーの給与などが、このドライバーの口座に1回数百万円振り込まれていた。こうした証拠を提出したにもかかわらず、ドライバーが主張する車両の所有権については「会社側にある」と裁判所は認定した。業界関係者で、同裁判で相談を受けていた人物は、「領収書や入金の証拠などが存在したため、ドライバーが主張する車両の所有権は認められるのではと思っていた。会社側が車両購入費を一括で立て替えて、その後、このドライバーが売り上げから返済していた。この内容を示す領収書が存在するのに、所有権がドライバーにないのが不思議だ」と話す。
労務問題や企業のトラブルなどに詳しいコンサルタントは、「償却制で車両の所有権をドライバーが主張するケースは今までもあった。しかし、個人と会社との裁判は、費用などの問題や事例が存在しないため記憶にない。償却制を行っていて会社が倒産した状態でも、個人の所有権は認められず、会社の財産として処理されている。車検証など公的な書類で明確に所有権を記載している者(会社や企業)については、ドライバー個人の所有権は領収書があっても、判断が難しいのかもしれない」と指摘。「運送事業者の中には償却が終了して、ドライバーが他社に移る場合は、車両の所有権を新たな会社に変更を了解する会社もあるが、トラブルが生じる前に車両の所有権を他に移すなどの様々な方法がない限り、困難であると思われる」と説明している。
やはり、個人でも運送事業が行える企業組合などに加入して、荷主や車両を守ることが賢明な方法だという声も聞かれる。(佐藤弘行)
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