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常に人手不足の運送業 景気良くても悪くても…
2011年6月17日
景気がよくなれば人手は不足し、景気が低迷していると失業率は高くなる。だが、例外な業界もある。運送業界では、景気が良くても悪くても年中人手不足のようだ。現在、東日本大震災の復興への動きが進み、建設業界では一般紙や求人誌などに多くの求人広告を載せ、中には日給2万円から3万円で、入社祝い金などを設ける企業もあり、トラックドライバーから建設業界への転職を考える者も少なくないようだ。こんななか、大阪府堺市でトレーラを保有する運送会社は深刻な人手不足となり、現在、約20台の保有トレーラのうち3台(1台は予備車)がドライバー不在で停車している状態。同社社長は「求人誌はもちろん、知人や業界関係者らにドライバーの募集、紹介を募っているが、約3か月が経過しても、これと言った人材が集まらない。より好みはせず、トレーラに乗れるのであれば雇いたいのだが、冷やかしすら来ない」とし、「新聞などで求人を見れば全て建設関係で、条件もドライバーに比べて格段に良い。トラックドライバーの人手がますます減少していくのではないか」と話す。
また、大型、4トン、2トン車などを数百台保有する運送会社でも、配車担当者やドライバーなどの求人募集を行うが、問い合わせのほとんどは冷やかしで、面接にまで至らないケースも多く、「今まで、たくさんいた求職者は一体、どこに行ったのか」と話す。トラックドライバー不足について、ハローワークに聞いてみた。担当者によると、トラックなど自動車運転の職業を求める人材は今年4月で166人(大阪南部地域の1市)、これに対して求人は115人で、他の職業と比較して極端に低い数字だ。担当者は「ドライバーは大型やトレーラの免許が必要で、長距離経験なども採用時に求められることから、他の職業と比較して条件が多く敬遠されやすくなっているのかもしれない」と原因を分析する。
インターネットの職業ガイドでも、トラックドライバーの平均年収は300万円から400万円で、大型ドライバーでも平均年収は400万円超。年収300万円以下は全体の2割を占めており、さらに長距離運行、長時間労働で、社会保険が完備されていない劣悪な会社も存在する。
初めてドライバーになりたいと思う人も、こういった劣悪なイメージがあることから、ドライバーという職業に魅力を感じなくなっているのかもしれない。(佐藤弘行)
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