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    東北の高速道路無料開放 大渋滞で物流に影響

    2011年7月15日

     
     
     

    truck_0718.jpg 東日本大震災の被災者や原発事故による避難者を対象に、東北地方の高速道路が無料開放されているが、無料で通行するために必要な「被災証明」などを多くの自治体が乱発しているため、主要なインターチェンジは慢性的な渋滞に見舞われ、物流に影響が出始めている。トラック事業者からは「トラックは無料にしてもらい、ありがたいが、時間帯によっては渋滞がひどく利用できない」「営業用自動車の専用ゲートを設けてはもらえないだろうか」などの声も上がっている。



     東北地方の高速道路無料開放は先月20日にスタート。被災者・避難者は「被災証明等の提示」で向こう1年間、常磐自動車道の水戸インターチェンジ以北と東北地方の高速道路20路線を「発着する」利用がすべて無料となった。また当面の復旧・復興支援として中型以上のトラック、バスも「8月末まで」の期限付きで無料開放されている。いずれも首都高速、阪神高速など東北地方のNEXCOと一体で料金を徴収できない高速道路は対象外だ。

     無料通行できる条件を、国が「被災証明等」とあいまいな基準とした上、その判断をすべて自治体に委ねたことから現場は大混乱した。自然災害などでは本来、国がその被害の程度を明確に定めた罹災証明があるが発行に時間がかかるため、被災証明等という表現で「自治体に任せた」という。

     当初、甚大な被害を受けた東北沿岸部の自治体ほど「動産、不動産に被害のあった世帯」「物的損害が分かる写真を添付」など被災証明の発行に厳しい申請条件を設けたが、ほとんど影響を受けなかった内陸部の自治体が「停電」「断水」も被災と認めるなど各地で相次いで条件が緩和され、茨城県水戸市など「市民全員に被災証明を発行する」自治体も出現。震災関連地域では今も連日、被災証明をもらいに大勢の人が窓口に駆け付けている。

     同県牛久市役所に問い合わせると、「被災した事実が何かなければ」としながら、「停電」「断水」でも被災証明は出るという。停電は「わずか5分でもOK」で、申請は「チェックシートの(瓦が落ちた、壁が割れたなどの)設問にチェックしてもらうだけ。こちらから聞くことはない。10分ほどで発行します」との回答。

     東北地方を含め、多くの自治体が、こうして被災証明を乱発しており、その結果、例えば首都圏に至近の常磐道水戸インターなどは現在、上り、下りとも平日の通勤時間帯などに異常な混雑が生じている。

     「一般道から下りで乗ろうとして1時間遅れてしまった」という湖南通運(同土浦市)は、「ドライバーが自主的に早目に出発するようになってきた」。また「あまり東北、水戸方面は利用しない」という十和運送(同つくばみらい市)でも、「たまに水戸方面に大型が出るが、一度渋滞で懲りたので、現在は迂回コースを走っている」という。

     さらに、水戸インターに限っても、かなり多くのトラック事業者が「ETCを通りたくても(渋滞で)通れない」「降りたくても降りることができなかった」など、これまでになかった渋滞による「想定外の被害」を受けている。

     関係者は「20日を過ぎて、子どもらや学生の夏休みに入る頃が心配」と話す。「景勝地のほとんどが壊滅的な打撃を受けたり、放射能が怖い被災地方面とは逆に、関西や九州方面に無料でドライブを楽しもうとする人たちが多いようだ。それをとやかく言うわけではないが、とにかく無料の対象者が激増している。物流に今後、大きなマイナス影響が出てくる」と懸念する。

     NEXCO東日本をはじめ高速道路各社は1日から、ホームページで「一部の料金所で渋滞が発生している」ことを詫び、「出かける際は混雑時間を避け、時間に余裕を持って利用」するよう呼び掛けている。国交省道路局は「停電や断水による被災証明発行は想定外だった」と説明。大畠章宏国交大臣も「被災者支援、被災地復興が目的の無料化制度。節度ある形で(各自治体が)対応してほしい」と話している。(土居忠幸)

     
     
     
     
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