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    北海道で大型冷凍車のトラブル 解決の道筋見えず

    2011年8月2日

     
     
     

    nousya_0801.jpg 北海道?本州間で冷蔵・冷凍品の輸送をメーンに事業を展開する三豊物流(外山芙美子社長、小樽市)は07?08年にかけて、地元ディーラー3社から8台の大型冷凍車をリースで受け入れ、ボディーは全て同じ架装メーカーの同一製品だった。納車からまもなく積み荷が融解する事態が発生し三豊はボディーに欠陥があると判断し、原因究明・修理・補償を架装メーカーとディーラーに求めた。架装メーカーは自社工場で検査し、「ボディーの冷却能力に不備はない。補償もしない」と結論付け、その後も「製品に問題はない」との立場を崩さなかった。三豊はディーラー3社に対し修理・補償を求め続け、問題発生から3年が経過し、ディーラー2社は修理と補償に一部合意した。しかし、最も多い4台を納車した北海道日野自動車(任田慧社長、札幌市東区)は「おかしな対応を繰り返し、問題解決に動かなかった」と三豊は主張、強い憤りを見せている。北海道日野は「三豊側の態度にも問題がある。解決のためには訴訟が一番」と主張。問題のボディーには、「ボルトの欠落やフレームのひび割れ」も相次いで見つかっており、三豊は早期の不具合解消を求めている。



     北海道日野の総務経理部管理課担当者は問題のボディーについて「冷凍車として価値がないレベル」と認識し、「売り主として販売責任は果たさなければならない」と幾度となく答えていた。同社が三豊に宛てた文書でも「冷凍箱の不具合であり、架装メーカーの問題だが、売り主として、不具合に対応する責任があると思われる。架装メーカー及び日野において誠意をもって対応させていただく」と応じていたが、具体的な対応については3年が過ぎた今でも進んでいない。なぜ、「不具合を認識している製品」が3年以上も放置されるのか。

     同社は「三豊側が感情的になり話が前に進まない。休車損害など求める補償額も、あまりに高額。すぐに金の話となり、お互いが譲歩しながら解決しようとしない」と三豊側の姿勢を問題視し、「ここまでクレームが長引くケースは初めてで頭が痛い」と話す。

     また、架装メーカーに対しても「リースの関係上、うちが一括して販売したことになっているが、ボディーの仕様は三豊と架装メーカーが決めたもの。ボディーは冷凍車として使用するには問題があると思うが、どのような発注を受けて出来たボディーなのか、こちらでは把握していない。三豊が認めた通りの仕様で発注され、その通りの製品が出来、その結果として冷えないボディーとなっている可能性もあるが、架装メーカーにいくら要求しても、うちも三豊もボディーの仕様書を見せてもらえない」と述べる。「販売責任はあるが、うちは三豊と架装メーカーとの争いに巻き込まれた印象」と認識している。

     これに対し、三豊は「日野は自分たちが売った『ボディーに問題はある』ものの、『補償はしない』と明言しており、『修理をするのかどうか、ずっと曖昧』にしてきた」と話す。同社が訴えるボディーの不具合解消は3年もの間、無視され続け、この間収支を大きく悪化させた。

     「安心してユーザーがトラックを使えるようにするのがディーラーの仕事のはず。日野は初めから、検査や架装メーカーとの折衝など、自分たちの負担になることはほとんど行わなかった。補償額の提示もこちらからはしておらず、日野側の主張は非常に不本意。自分たちが『価値がない』と認識する製品を販売したのなら、架装メーカーときちんと話をしてもらわないと困る」と話す。

     また、「連絡なしにアポイントを破ることはしょっちゅうで、会社や担当弁護士に連絡しても居留守と無視が長く続いた」と主張。「『直せば金がかかるので放置しておく』ディーラーなんて、どこにあるのか。そのうち、潰れるのを待っていたのだろう」と不信感とともに怒りを募らせる。

     北海道日野は「こちらから約束したアポイントは破っていない。代理人も多数の案件を抱えているので、対応できないこともある」と主張する。

     今年に入り、三豊は日野の車両代にかかる手形を供託した。三豊は「日野の担当者から『問題を前に進めるために』と、供託という方法があると示唆を受けた」と主張。しかし車両代より多額の修理代は、引き続き決済を続けていた。

     北海道日野は、「連絡もなく、いきなりこのような措置を取られた。三豊とは取引出来ない」と車両の修理までストップ。三豊は「修理代は支払っているにもかかわらず修理をしないなんて、潰しにかかったのだろう。うちが供託なんてやり方を思いつくはずがなく、本当に支払いを止めるのなら、車両代の何倍もの金額ともなる修理代を止める。車両代を供託しても日野からは問い合わせがなかった。予想していたからだろう」と話すが、北海道日野は「供託の示唆などしていない」と否定する。

     5月、北海道日野は「車両の販売業者として早急に不適合を修理する必要があると判断」し、架装メーカーに助言してきたが、「修理費用の負担の帰属が誰になるかは別として、納入した4台の冷凍用保冷箱の修理をさせていただきたい」と三豊に申し出を行った。

     「修理費用の負担の帰属が誰になるかは別として」の文言について、同社は「うちか架装メーカーか、どちらが負担するかはわからないという意味」とするが、三豊は「それならそう明記するはずだし、3年も問題が長引かない。日野が負担しないようにする魂胆が見え見えで、このようなごまかしがずっと続いてきた」と、これを拒否。「修理費用や修理期間の休車補償、これまでの応急修理の費用や休車補償などの負担は誰が行うのか」とする質問書を送り返したが、1か月半もの間、何の回答も来なかった。

     北海道日野は「第三者に入ってもらい、司法の場で責任の所在と程度を決めてもらうとの展望を話すものの、三豊は「訴訟になると、日野は『責任がない』という態度をとるのは目に見えており、これまで『製品に問題がある』と言ったことも否定するだろう」と指摘する。

     7月に入り、三豊は北海道日野から「訴状」を受け取った。北海道日野が原告、三豊を被告とし、問題の車両4台の「修理代金と休業損害」について、「日野は三豊に債務がないことを確認」する内容で、「訴訟費用は三豊の負担」とするもの。修理代金・休業損害など560万円の債務不存在を求めている。

     訴求の原因には、問題の冷凍ボディーについて「瑕疵(かし)担保責任を売り主が負担するためには、買い主が隠れたる瑕疵の存在について善意・無過失であることが前提」だが、ボディーの製造・施工については三豊と架装メーカーとの話し合いの結果なので、「冷凍用保冷箱に瑕疵または不適合があったとしても、その責任については製造物責任の存否によって解決されるべき」とし、ディーラーには「何ら責任がない」ことから、修理代金・休業損害などの「支払義務は存在しないというべき」とある。

     これに対し、三豊は「5月に『誰が費用を負担するかは別にして修理したい』と言ってきて、『誰が負担するのか』と聞き返すと、しばらく無視が続き、いきなり、このような文書が届いた。そもそも請求書のやり取りも行っておらず、何を根拠に金額を算定したのかもよくわからない」と首を傾げている。

     三豊が不具合を指摘したボディーは今年に入り、相次いで対抗ボルトやリベットの欠落、フレームのゆがみ・多数のひび割れが見つかった。冷凍性能だけではなく、耐久性にも問題が出始めており、同社では「とにかく安心して運べるようにしてほしい」と強く訴えているが、問題解決の道筋はまだ見えていない。(玉島雅基)

     
     
     
     
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