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過失が少ない事故こそ分析を
2011年9月22日
事故を起こした運送会社の管理者の方に質問をして、気になったことがありました。大きな過失のある事故については、それなりに事故分析をして対策を取っているのに、「小さな過失の事故」についての分析や対策が甘いということです。
「小さな過失の事故」とは何だと思いますか? 例えば、路地から乗用車が飛び出してきて接触事故を起こした、というケースです。停止していたのに、通過寸前に飛び出してきて事故になってしまった、ということです。ドライバーは「停止していたので大丈夫だろうと思った」と言います。ドライバーのこの感覚もちょっと問題がありますが、もっと大きな問題が見つかりました。
それは、管理者に対して「この事故をどう思いますか?」という質問をした時のことです。管理者の答えは「今回の事故は、相手側の飛び出しだから仕方ないですよね」だったのです。
これは笑えない話で、意外に多くの運送会社が「過失の少ない事故」について深く分析をせずに、これに似た形で終わらせてしまっているのではないでしょうか? 今回のケースも、少し考えると飛び出してきた乗用車の運転者の心理が見えてきます。「路地から広い道路に出る時に一旦停止した」「右側からトラックが走ってきた」「通過を待とうと思った」「しかし、思ったスピードでトラックが来ない」「それじゃ、行こう」。
要するに、一般のドライバーから見ると、思った以上にトラックは遅く見えてしまう、ということです。赤信号になる交差点付近で、いきなり前に乗用車に入られて「ヒヤッ」とした経験のあるドライバーさんは多いと思います。あれも一般ドライバーから見ると、トラックのスピードが遅く感じ、トラックも乗用車と同様にすぐに停止できると思うことで、直前でも平気で割り込んでくるのです。
ですから、今回の事故分析では「一般ドライバーから見てトラックはどのように見えているのか」という観点でドライバーに教育しないと、本当の意味で役に立たないでしょう。運送会社の管理者は、ドライバーが気づかない視点で事故分析ができるように、日頃からトレーニングする必要があります。
「過失が少ない事故こそ、しっかりと事故分析をする」。運送会社の危機管理の一つです。
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