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運転者の高齢化でミス続く 荷主からの忠告に悩む事業者
2011年9月27日
少子高齢化が進む中、その影響を受けるトラック業界。若年労働力の確保が叫ばれる一方、高齢者の雇用を模索する動きが活発化し、いかに活用できるかに主眼を置く事業者も少なくない。今後もドライバーの高年齢化が進むのは確実。しかし、会社の功労者でもある高齢ドライバーに悩まされる事業者もあるようだ。
千葉県の事業者には、70歳を超えたドライバーがおり、いまだ現役で頑張っている。同社社長は20代で同社を設立し、40年近くにわたって同社を切り盛りしてきた。70代のドライバーは設立当初から勤務、これまでドライバーとして会社を支えてきた。いわば、功労者でもある。だからこそ、「本人の希望通り、気のすむまで働かせてやりたい」というのが、社長の本音。しかし最近、そのドライバーの仕事ぶりに不安が隠せないようだ。
これまでは真面目で正確だったが、誤配が目立つようになり、荷物を持つ手が震えるようになった。それでも本人のやる気を尊重していたが、先日、配送先の荷主担当者から「ドライバーを交代させた方がいいのでは」という忠告を受けた。
「確かに潮時でもあり、何とか花道を飾らせてあげたいと考えている」というが、そのドライバーが年金だけで生活できない環境にあること、他で働く場所がないことなど知っているだけに、「強く引退を勧められないのが実情だ」とこぼす。仕事に対する責任感は強く、他のだれよりも早く出社して仕事に取り組む姿勢は、同社の模範ともいえる。
とはいえ、そのドライバーを働かせ続けることは、荷主からの忠告もあることから、同社にとって大きなマイナス。「荷主とは長年の取引関係があるから、忠告だけで許してくれているという側面があるが、契約を解除されるきっかけとなってもおかしくない」と指摘する。
だれよりも早く出社するなど模範ともいえる姿勢の一方、誤配やミスが目立つようになってきた仕事ぶりに、「私もそうだが、70歳になれば、昔のようにはいかない」と同情を寄せる。「長く会社に貢献してくれたドライバーをむげにはできないし、最後まで面倒を見てあげたいのが本音だ」と親心をのぞかせるが、「荷主や会社に迷惑をかけているということを自分で理解して、自分で引退を決めてくれるのが理想だが」と頭を悩ませている。(高田直樹)
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