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    行政の運用指針変更に 振り回される運送業界

    2011年10月13日

     
     
     

    truck3_1010.jpg トラック業界の一つひとつの側面と、それを取り巻く法の運用が時間とともに変化している──。そのように考えさせられる事案が散見されている。法や規制が変わっていないにもかかわらず、実際上の運用指針を行政が変更することで、業界の活動が事実上厳しくなる側面があるのだ。



     統計上は減少している「放置駐車取締件数」。だが、一部のトラック事業者は、「取り締まりが年々厳しくなっている」という。大阪府や兵庫県で家具などの大型雑貨を宅配する事業者は、仕事中のトラックに取り付けられた「放置車両確認標章」(ステッカー)の枚数が今年に入って激増。この事業者の近隣に(営業所を)構え、宅配などで協力関係にある事業者でもステッカー枚数が増加し、車両の所有者責任制度が適用され、トラックの運行が禁止される措置が取られたという。

     一方、大阪府交通安全協会の「交通白書」によると、08年のステッカー取り付け枚数は46万6338件、09年は41万2518件、10年は35万4978件で、年を追うごとに5万─6万件ずつ減少している。

     また、兵庫県警交通指導課によると、取り付け枚数は08年の15万6365枚をピークに、09年は14万3793枚、10年は13万1204枚と減少している。広報担当者は、「(11年に入ってからも)放置駐車は減ってきていると感じている。放置駐車数自体が減っているので、取り付け枚数が減っている蓋然性が高い」と話す。

     では、なぜ家具配送事業者などで統計との乖離が見られるのか。広報は、「駐車監視員の活動を『ガイドライン』で年々見直している。新しい商業施設ができたり、近隣住民からの要望、110番通報があれば重点地域に指定したりする」と回答。法そのものではなく、法の運用の面で警察(公安委員会)に事実上の裁量が与えられている形だ。

     速度違反をした本人は反則キップ処理で済んだが、運行を管理していた者は逮捕──。同じく兵庫、大阪を舞台に9月下旬、そんな事象が起きた。こちらも法そのものではなく、運用を交通行政が変化させてきた典型と言えよう。

     速度違反をしなければ間に合わないような運行を「容認」していたとして兵庫県警は今夏、近畿地方などにある少なくとも12の運送会社を強制的に捜索した。9月の逮捕は、「容認」していたかどうかを運行管理者の供述から引き出そうとするものだ。

     逮捕された2社の2人の運行管理者は捜索後も勤務し続けているが、逮捕の必要性について交通捜査課の井奥眞吾次席事務代理は、「捜査上のことでコメントできないが、少なくとも裁判所が逮捕状の請求に応じている」と話す。

     ただ、4トンまでの大きさの、タコメーター装着義務のないトラックの運転者本人でなく、運行管理者を逮捕することは異例で、運行管理者の供述なしには事件の裏づけを取りにくいという特殊事情が影響したことを、同氏も本紙取材に認めている。

     問題は、法律が変わっていないにもかかわらず、逮捕を含むこうした捜査がなぜ、なしうるのかという点だ。兵庫県内の速度違反取り締まり件数は交通指導課によると、ここ3年間は13万件台に収まり、大きな変化は見られない。いまなぜ、こうした捜査が行われるのかも焦点になってくると、ある業界関係者は話す。(西口訓生)

     
     
     
     
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