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    邪魔になった「プロ魂」 嵐の中配達も迷惑顔の荷主

    2011年10月18日

     
     
     

    truck2_1017.jpg 大型台風で高速道路が通行止め。それでも職務を遂行すべきか否か…。まずは現場の状況を会社へ連絡し、管理者の判断に従うのが原則。なかには長年のカンを働かせ、なんとか引き受けた仕事をこなそうとする職人魂のトラック・ドライバーもいる。悪天候の影響で届かないと思っていた荷物が、そんなプロ根性でほぼ予定時刻に到着したにもかかわらず、ドライバーに待っていたのは意外にも労いの言葉ではなく、荷受先からの叱責だったという。トホホ…と肩を落とす担当ドライバーと同社の管理者、加えて同業他社の関係者らにも話を聞いた。



     猛威をふるった今夏の台風で、その日は未明から東名や中央など複数の高速道路で部分的に通行止め規制が敷かれていた。目的地の北関東をめざしていた西日本地区の運送会社に所属するドライバーは当時、愛知県内にある東名高速のサービスエリアに停車していたが、非常時の対応について指示を仰いだのは会社の管理者ではなく、全国の道路事情に詳しいというベテランの同僚。日ごろから慕っていたらしい。

     「会社に電話しても、だれもいない時間帯。このままSAに待機していいものかどうか、とにかく足止めを食っている様子を話そうと思って電話を入れた」とドライバー。長距離の仕事に不慣れで、不安がる後輩のドライバーに対し、別方面へ向かっていたベテランは「少し戻って中央道から長野道、それから上信越へ回って…そのルートがダメなら、もう諦めるしかない」とアドバイス。それに従ったドライバーは、当初予定の到着時間から1時間ほど遅れて荷下ろし地にたどり着いたという。

     しかし、待っていたのは労いの言葉ではなかった。「なぜ来たのかとか、無茶をしてもらっては困るという感じだった」とドライバー。その後、所属する運送会社にも連絡が入ったが、荷受けの担当者から事情を聞いた運行管理者によれば「『ほかの運送会社からは事前に連絡があり、通行止めで待機することを了解した』とのこと。それにもかかわらずウチのトラックだけが到着したことで、『日ごろの管理体制を疑う』ということだった」。同社では従来、「事故なども含め、時間を問わずに会社(管理者)へ連絡を入れるように指導してきた」(社長)としているが、「ドライバーのやる気を削ぐ気もしなくはない」とも口にしている。

     必死の思いで荷物を届けたドライバーの行為は、かつてならプロ根性、職人魂として評価されたのかもしれないが、「危機意識の欠如」「予定の運行経路を勝手に変更するという重大なルール違反」との叱責を受ける格好になってしまった。「無理をせずに、サービスエリアでゆっくりと休憩していればよかったというのか…」と、ドライバーは肩を落としている。

     こうしたケースの対処について同業他社に聞くと、「万一のことがあれば荷主にもオーバーワークの責任追及がある時代だし、とにかく連絡を取り合うことが基本。向こうが待機しろというなら、悩むことなくトラックを止めるべき」との声が多数派。ただ、「なかには『少々の無理をしても荷物を届けてくれ』というケースもある。そのときの相手の都合で振り回されることもあって難しい」(姫路市の運送会社)と話す関係者もいる。

     「うちも同じような目に遭ったことがある」という岡山市の社長は、自身がハンドルを握って四国方面へ走った当時の様子を述懐。食品を扱う問屋のセンターへ向かったものの、社長のトラックが通過した直後に本四間に架かる大橋が通行止めに。「『なぜ来たのか?』という反応で、要は他社のトラックが到着しないなかでウチの荷物だけが届いても迷惑という雰囲気だった」と話す。また、「夜間や早朝は荷主の担当者とも連絡が取れず、朝になってみないと相手の判断がわからない。結局、ドライバーには『用心しながら少しずつでも(目的地へ)近づいておくように』と指示することになる」(広島市の運送会社)という声も複数聞かれた。(長尾和仁)

     
     
     
     
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