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    同業他社でアルバイト 収入減続き臨時収入求め

    2011年11月21日

     
     
     

     トラックドライバーの?副業?が問題視されているが、なかでも同業他社にアルバイト運転者として勤めるケースを懸念する声が強まっている。コンビニなどでアルバイトする場合とは違い、「寝るのも仕事」といわれるハードな日常のなかで、休養日にまで別の運送会社でハンドルを握る行為の危うさは否定できない。



     たとえ会社が就業規則や雇用契約書で副業を禁止していても、就業の自由という考え方を踏まえれば、効力は限定的というのが実情だ。ただ、そうした次元の話より以前に、歩合給が幅を利かすトラックドライバーの世界では、近年の運賃低迷や物量減にともなって著しく収入が目減りしており、その穴埋めのための臨時収入を求めてアルバイトに走る姿が目立っている。

     トラックドライバーの?スポット・バイト?として人気があるのは「運転代行ドライバー」や「同業他社の営業トラックに乗ること」と神戸ナンバーのトレーラ運転者はいう。「いつもは精密機械関連の仕事をやっている運送会社に勤めているが、週に2日だけ夜間の代行ドライバーをしている。決まった日に休めるドライバーだとバイトをやっている例も珍しくない」と話す。

     素材メーカーの工場間輸送で倉敷ナンバーの大型トラックに乗るドライバーも「週1回のペースで、別の運送会社の4トン車で地場配送をやっている」という。荷動きが極端に落ち込んだ数年前、会社が雇用調整金の活用を決めた際にバイトを始めたというが、正社員として勤める運送会社の業務がほぼ回復してからも、「計算方法が変わって給料が減ったのは確かで、それを埋めるために働いている。家のローンもあるから…」と話す。

     一方、仮に疲れた体にムチ打って働く社員ドライバーがいたとしても、その実情を会社が把握することは困難だ。「給料が少ないから、もっと働きたい…そういわれれば返す言葉がない。労働時間の問題を考えれば、いま以上の仕事をウチでやらせることもできない」と広島市の運送経営者。

     「365日・24時間」が当たり前の食品輸送の現場事情や、トラックの使用年数が制限されるようになった近年の厳しい経営環境も影響している。「例えば9年で100万キロメートルをめざすというなら、1か月に1万??を走らせなければならない。おのずと1台のトラックを複数のドライバーで回転させることになり、正社員1人当たりの労働時間の調整弁的な役割としてバイト運転者を使ってしまうこともある」と岡山市の運送経営者。

     気掛かりなのは、こうした兼業ドライバーがトラブルや大きなミスを犯す事例が増えていること。西日本エリアだけでも今年に入って数件の事故・トラブルがカウントされている。「いくら携帯を鳴らしても車内待機のドライバーと連絡が取れないというのも要注意。後で聞くと『熟睡して気付かなかった』ということだった」と姫路市の運送事業者。
     過労や寝不足による運転中の居眠りも懸念されるが、そうした深刻な事態は「本来の職場」「バイト先」のいずれで起こるかは判断できない。重大事故(数台の車両を巻き込んで複数人が重軽傷)に過日、実際に見舞われた運送会社の幹部に聞くと「(履歴書の内容から)熟練ドライバーということで、軽い気持ちで採用したのが失敗だった」と反省する。

     一方、正規に雇っているドライバーがバイト先(運送会社)で事故を起こした運送会社によれば、「うちにも行政当局から問い合わせがあった」と社長。監査に入るというなら徹底的に抗弁するつもりだったというが、「就業規則や雇用契約書に副業禁止を記していることと、確実に36協定を交わしていたことで、それ以上の追及はないとのことだった。こうした状況がさらに広がらないためにも業界全体が真剣に考えるべきだ」と語気を強める。(長尾和仁)

     
     
     
     
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